様々な「体験」こそが人生を豊かで楽しいものにできる秘訣ですし、”いけばな” も様々な体験をすることができる機会に他ならないのです

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

昨日は私の開催している神戸教室にお稽古に来られている有志の皆さんと、夕食に行ってきました。

人生を豊かにしてくれるのは「体験」

皆さんは人生を豊かにしてくれるものは何だと思われますか。私は「体験」だと思っています。どれだけたくさんの体験をしているか、どれだけ様々な体験をしているか、これこそが人生の豊かさの目安だと思っています。
知らない体験をする。より高いレベルの体験をする。仲間と共通の体験をする。これらは絶対にその人自身の話題が豊富になると思うのです。すなわち人間としての厚みや深みが加わるという事ですし魅力が増すってことですよね。
そして色んな体験を通じて驚いたり喜んだり楽しんだりできるって、人生を大いに楽しむことが出来るという事に他ならないとも思います。

いけばなのお稽古と言うと、お花を綺麗に生けることがお稽古で一番大切だと考えがちですが、実はそうではありません。
いけばなで一番大切なのは、お花を生けるという事を通じて得られる「体験」にこそあると私は考えています。そしてそれこそが、人生を豊かにしてくれる要素としていけばなが重要な役割を果たすことに他ならないのです。

「体験」はお金を出さないと出来ないモノもある。しかしお金を出しても出来ないモノもある

「体験」には必ずお金が必要になります。
何かを体験するためにお出掛けすれば移動に費用が掛かります。仮に歩いて行ったとしても服を着たり靴を履いたりしなければお出掛けなんてできないのですから、全く費用が掛かっていないお出掛けなんてありません。
体験するために何かを買えばもちろんお金が必要になります。

ではお金を出したら何でも「体験」出来るのかというと、そんなことはありません。
たとえば遊園地に行って乗り物に乗るためにはお金が必要になります。しかしいくらお金があっても、身長制限とかがある乗り物にはその身長に達していなければ乗ることが出来ないように、お金を出しても出来ない体験もあるのです。

”良いモノ”と”そうではないモノ”の両方を知って、初めて判断することが出来るものもある

と、ここまで言うと、体験イコール贅沢をすることのように思われる方がおられたりしますが、それは大きな勘違いになります。料亭で食べるお料理も体験ですが、居酒屋で食べる串カツも体験です。美味しいお蕎麦を食べるのも体験ですが、不味いお蕎麦を食べるのも体験です。
つまり私は人生って、色んな「体験」を通じて様々なことを知ることによって初めて豊かになるし、良い判断が出来るようになると思っています。

一例をあげるならば飛行機にはエコノミークラス、ビジネスクラス、ファーストクラスがあります。これってお金の違い(贅沢の違い)だと思われている方が多いと思いますが、私は「体験」の違いだと思っています。
すなわち、エコノミークラスで移動したときの体験、ビジネスクラスで移動したときの体験、ファーストクラスで移動したときの体験の違いなのです。

ハワイに行くときにエコノミークラスに乗ると、飛行機が早くホノルルに到着しないか待ちどおしくてなりません。何なら飛行機に乗っている約8時間が苦痛で仕方ないです。しかしビジネスクラスに乗ると、「えっ、もうワイキキに到着するの?」って感覚になりますし、どちらかというと早かったなぁ~って感覚になります。移動時間は全く同じなのにこんなに違いが出てくるのです。
ちなみにこの体験の違いって、到着後の肉体的な疲れだけではなく精神的なありようにまで大きな影響が出てきます。
こんな経験や感覚って「体験」しなければ絶対に分からないものですし、「体験」から得られた感覚や経験をもとにしてこそ、より良い考え方や選択が出来るようになるのです。

いけばなを考えるときに「体験」というキーワードを意識しながら教室でのお稽古やいけばな展や研修や講習会など色々なものと向き合ってみると、単なるお花を生けるという視点だけではなく今までには見えていなかったことを考える事や感じることが出来る様になってきます。
体験したことが人生を豊かにしてくれますし、いけばなを様々な体験をすることができる機会として役立てていただければ、人生が今よりももっと
豊かで面白いものにすることができると思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。