依存心は、人の成長には「百害あって一利なし」であり、良い習慣こそが人を成長させてくれるのです

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

今日は光風流本部いけばな教室のお稽古日です。私どもの教室では、お稽古の後に生徒の皆さんとお茶を飲みながら色々なお話をさせていただくようにしています。お仕事の話、ご自身の事、趣味の話、いけばなの話、その時その時によって内容は様々です。
そんななか今日は、「依存心」という事について話をする機会があったので、そんなことについて書きたいと思います。

依存心は、人の成長には「百害あって一利なし」

「依存心」とは簡単に言うと、誰かに頼ろうとする心や行為という風にご理解いただければと思います。そしてこの「依存心」ですが、往々にして人の成長を妨げる働きをしてしまいます。
たとえば、分からないことがあった時にすぐに誰かに聞こうとするという行動になります。たしかに聞けば手っ取り早いですよね。いちいち覚えていなくても知っている人に聞けばいいのですから。
しかしこの知っている人に聞けばいいという思考こそが、その人自身の成長の一番の妨げになってしまうのです。

まず第一に、聞けばいいと思っているので脳ミソが開店休業状態になってしまいます。
たとえばいけばなの場合ですと、「この花はどうしたらいいですか」という質問をされる方があります。この質問って、この花をどうしたらよいかすら自分で考えていないという事にほかならないですし、とにかく人に聞いてその通りにすればいいと思っているので、思考停止しているということなのです。
なのでこういう人に何度(何十度)おなじことをお答えしても、身につくことはないということなのです。だって脳ミソ働かせてないんですから学びもないし経験にも全くならないという事です。

そして第二に、聞けばいいと思っているので調べようという気持ちがなくなってしまいます。
人は何事によらず分からないことはたくさんあります。未経験で分からないこともあります。あるいは久しぶりの事柄なので、以前にどうしていたのか忘れてしまっているという事もあります。とはいえいずれにしても、調べれば答えやヒントを見出すことが出来るようになるのです。
いけばなの場合でしたら、これまでのお稽古のノートを遡って調べてみる事が出来ます。あるいは一般的な事柄の場合には、関連するキーワードを入力してググってみる事もできます。
もちろん調べてもわからない場合もありますから、そういう場合は聞けばいいのですが、まず調べてみる事によって自分の記憶を振り返るという復習がそこに生まれますし。何よりも大切なのは物事を自分で調べようとする思考と行動が身につくのとともに、調べ方を身に着ける事が出来るようになるのです。

一つの失敗は一つの経験を積み上げたという事です

依存心の強い方の行動原理は、失敗しないという気持ちが強いように思います。成功と失敗をどちらがいいですかと単に聞かれれば、成功がいいという事になります。しかし成功と失敗は対比の関係ではないという事を私たちは知る必要があると思うのです。
言い方を変えれば、成功=良いこと、失敗=駄目なこと、という考え方が間違えた考え方であるという事です。

失敗というのは、「あ~そうしたらダメなんだ」という経験を積み重ねているという事に他なりません。つまり一つの失敗は一つの経験値を積み重ねる事が出来たという事なのです。失敗を積み重ねてゆけば成功するようになるという事なのです。
なので少しでも早く、少しでも短期間に、より多くの失敗をした人が、一番大きく成長することが出来るのです。

失敗をできる土壌と、依存心を増長することのないシステムこそが大切

ではどうすれば依存心の強い人が生まれないようにすることが出来るのかを考えてみると、私は2つのことがポイントになるかと思っています。

1つは、どんどん失敗することが出来るようにしてあげるという事です。
先にも書きましたが、失敗を恐れていては失敗からの経験を積み重ねる事が出来ません。なので小さな失敗を日ごろからどんどんできるようにしてあげる事が大切なのです。とはいえ同じ失敗を繰り返すというのは単なる無能という事になっちゃいますので、失敗からしっかりと学びを得る事が出来るようにサポートしてあげる必要があります。

2つ目は、依存心が芽生えたり増長することのないシステムを作るという事です。
どんなに「依存心が育たないようにしましょう」って言っていても、何度同じことを聞かれてもいつもニコニコお答えしていますという事では、あんなん言っているけれど聞いたらいいんやんになってしまいます。
なので、最初はしっかりと丁寧に指導を行うけれども、2回目以降は考えるという習慣作りや調べるという習慣が身につくようにして差し上げる事が大切なのです。

良い習慣が人を育てる

依存心というのは、依存心が育ってしまう環境を作ってしまったという事にこそ一番大きな原因があると思います。
なので、良い生徒さん、良い従業員、良い後輩を育てたいと思うならば、依存心が育たない環境やシステムづくりこそが大切なのだと思います。
自分で考えるという習慣、自分で調べてみるという習慣、そして、どうしてもわからない時には自分なりに結論を出してから「〇〇で良いですか」と聞く習慣、こういう習慣が身に付けば、その人は大きく成長すると思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。