故 荒良寛先生から頂いた言葉「一念三千(いちねんさんぜん)」

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

私は夏になると毎年思い出すことが有ります。それは故 荒良寛(あらりょうかん)先生の事です。

故 荒良寛先生との出会い

荒良寛先生との出会いは、2015年にハワイのパロロ観音寺の周年の式典でいけばなデモンストレーションを行なうためにハワイを訪れた時にご縁をいただきました。
荒良寛先生は、当時、天台宗ハワイ開教総長としてハワイに在住されており、「前向きになる言葉〜羅漢さんの絵説法シリーズ」とか「カレンダー」、「仏画」を書かれていたり、講演も日本各地においてなさっておられましたのでご存知の方も多いと思います。

荒良寛先生と親しくお話をさせて頂くようになったのは、パロロ観音寺の周年祝賀会の時にお隣の席に座らせていただいた事から始まりました。
祝賀会では普通に食事をしたりお酒を飲んだりしながらお話をさせて頂いたのですが、いけばなの家元という事で存在が珍しかったのだと思うのですが、それ以降夕食をご一緒させて頂いたりするたびに「内藤さんここにおいで」と荒良寛先生にお声がけをいただき隣に座らせていただき、色んなお話をさせて頂きました。

荒良寛先生から頂いた言葉

荒良寛先生とは本当に色々なお話をさせて頂きました。仏教の事、お酒の事、荒先生の日常の事、人生訓、いけばなの事、いろんなお話を聞かせて頂いたのですが、その中でも特に印象深かったのは和食レストランで晩御飯を食べながらしてくださった「一念三千(いちねんさんぜん)」と言うお話でした。


荒良寛先生がお店の割りばしの袋に、直々に書いてお話してくださいました。

「一念三千」とは

この「一念三千」というお話は、私が仕事柄、人前でお話などをさせて頂く機会が多いですので、是非心に留めおきなさいという事でお話をしてくださったものになります。

どういうお話かというと、
教室や講演などをするときに、目の前に1人の人がおられたら3000人だと思って感謝をしなさい。3000人だと思ってお話しをしなさい。
あなたのお話を聞いてくださる人が今は1人だけだったとしても、その人があなたのお話から何か感じる事が有れば、家族やお友達にそのお話をされるでしょう。そのお話を聞かれた人がまた他の人にお話されるでしょう。そう考えれば、すなわち目の前に居られる1人は3000人と同じなんです。
また人間ですから、3000人を前にお話をすると思うと準備もしっかりとするでしょうし、話をするテンションも自然に高くなるでしょう。
1人だから適当にそれなりで良いと言うことではなく、いつもこの様に考えて精一杯取り組む事が大切ですよ。
というお話でした。

1人だからと言って手を抜くような事はしないですが、そう言われれば確かに、50人の前でお話させて頂くと言うのと5人の前でお話させて頂くっていうのとでは、自分で気付かないうちにテンションとかが違ってしまっている可能性はあるかもしれないですよね。

このお話を聞かせて頂きながら、自らにしっかりと戒めとしなければなぁと物凄く心に残りました。

荒良寛先生とは、もう出会う事は出来ないけれど

荒良寛先生は2019年1月に他界されましたので、お出会いさせて頂き一緒にお酒を飲ませていただいたりお話をさせて頂くことはもうかないません。
しかし「一念三千」をはじめお聞かせいただいた色々なお話は、私の中に学びや戒めとして今も残っています。

ハワイでお出会いさせていただいたご縁なので、夏になると何となく荒良寛先生の事が思い浮かんでくるのですが、これからも大切にしたい思い出の1つです。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。