お稽古には技術を高めるものと感覚を育てるものとがあり、それを両輪にするのが効率の良いお稽古になります

こんにちは、内藤正風です。

今日も、現在開催中の「こうべ芸文美術展」の朝の手直しから1日がスタートしました。

明日は最終日となり、15時まで開催しています。

お稽古には2つの側面がある

いけばなのお稽古と聞いてどんなイメージをお持ちになられますか。
お花を心の赴くままに器に挿している。あるいは、先生に言われる通りに生けている。。。。。
残念ながらどれも正しいイメージではありませんし、こういうお稽古をいくら行なっていても効率的な成長を見込むことはできません。。

ではいけばなのお稽古に大切なものって何かというと、次の2つの側面があります。
1つは技術を高めるお稽古、そしてもう1つは感覚を磨くお稽古です。

技術を高めるお稽古とは

技術を高めるお稽古とは、”曲げる”、”切る”というような作品を作るために必要になるスキルを高めるものになります。
いけばなは作品を作るにあたって、枝の形を整えたり、枝の癖を直したり、格花の場合には足元を1つにまとめたりすることによってイメージを形にしてゆくのですが、この時に技術が必要になります。

特に枝を曲げる技術と、枝を作り直す技術は、繰り返しお稽古をしなければ一定のレベルに到達できるものではありませんし、そもそもこれで良いと言うレベルがあるわけではありませんので、常に研鑽を怠らずレベルアップを行い続けなければなりません。

感覚を磨くお稽古とは

いけばなで大切なものというとお花を生ける技術に目が向きがちですが、どんなに素晴らしい技術を持っていても感覚を磨いていなければ素敵な作品を作り上げることは不可能なのです。

これは家を建てる時を例に考えるとわかりやすいと思います。
たとえば日本一の技術を持っている大工さんがいるとします。しかしこの大工さんに建物をイメージする力が無ければ、どんなに素晴らしい技術があっても建物を作り上げることは出来ないです。
あるいはお洒落な感覚やいまみんなが好むような感覚が全く無い大工さんだと、時代外れの建物を作ることしかできなかったりしちゃいます。
すなわちこういう感覚っていうのは、日ごろから良いものを見たり、今の世の流行についてアンテナを立てて興味を持っていなければ、自分に備わることは絶対にありません。

いけばなのお稽古でいうならば、自分なりの創意工夫を加えた作品作りを日頃から行い調和のバランス感覚を養うとか、これまでにしたことの無いものに挑戦し新たな感覚を養うという事なのです。

技術と感覚を両輪に

技術を育てるお稽古は、愚直なまでに繰り返す凡事徹底でしか身につきません。そして感覚を養うお稽古は、新たなことに挑戦し続ける事でしか身につけることはできません。

なのでいけばなを早く上達したい人は、この2つを意識したお稽古を行なうことをお勧めしますし、この2つが両輪として機能するようになれば、素敵な作品を生み出すことが出来るようになりますよ。

 

 

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。