「いけばな」は古くからの事を伝えるだけではなく、新しい事に常に挑戦し続けているのです

こんにちは、内藤正風です。

雨が降ると気温は低いですが湿度が高くて過ごしにくいですし、雨が降らないと曇っていても暑くて過ごしにくいですし、夏は暑いものとはいえ、口を開くと「暑い。。。」が最初に出てきちゃいます。

9月からはいけばな展のシーズンに入ります

9月はまだまだ暑い時候ですが、暦の上では秋という事で「秋のいけばな展」のシーズンに入ります。
私ども光風流においても各地の支部において”いけばな展”が予定されていますし、各地のいけばな協会においても展覧会が予定されています。

とはいえこんなご時世ですから、予定通り開催することが出来るかどうかはわかりませんが、用意万端整えて、あとは天命を待つという感じです。
平たく言えば「なるようになる」です。(笑)

いけばな展には”実験室”としての要素もあります

「いけばな展」は単に作品を並べて展示するという事だけではなく、色々な要素や側面があります。
その中の一つに、私は”実験室”としての要素もあると思っています。

それはどういう事かと言うと、まず最初にいけばなと言うのは不変の物ではなく、時代と共に常に移り変わってきているものであるという事を知る必要があります。
「いけばな」には古来からの伝承を今に伝えている側面もありますが、それだけではありません。
今と言う時代の中で「いけばな」は何が出来るかと言う事を模索し続けて、新しい挑戦をし続けてきている歴史でもあるのです。

約700年前に「いけばな」は仏教伝来と共に伝わってきた「供華」をルーツとしており、そこからこれまで歴史を積み重ねてきています。
その時代時代の華道家が色々な花形を考案し発表してきました。
特にお花を飾る環境の変化は、いけばなの花形に変革をもたらす大きな要因となりました。
今、基本の生け方やスタンダードな花形として伝わっているものは、200年前に新しい花形として発表されたものであったり、100年前に新しい花形として発表されたものであったりするのです。
すなわち、世の中の価値観や流行り、住宅環境などの移り変りにあわせて、常に変革してきたのが「いけばな」の歴史なのです。

700年の歴史に基づいた「いけばな」として大切にしなければならない事を土台としながら、未来に向けて挑戦をする。
これこそが「いけばな」の正しい姿です。

新しい可能性の模索をお楽しみください

私たちは日頃お稽古を通じて、伝承を学ぶことと、新しい可能性を模索し挑戦する事を行なっています。
すなわち「いけばな展」に作品を展示するという事は、日頃の積み重ねてきた研鑽を土台としながら、自分なりの挑戦を作品に込めて発表し、その成果を直接肌で感じる事が出来る実験の場と言えるのです。

思った通りの成果、思った以上の成果、思いもよらぬ成果、結果は様々です。
ここで間違えてはいけないのは、結果が良かったからOK、悪かったからダメと言う事ではなく、その成果から何を感じ何を学び、そしていかに次への課題や目標とするかが一番大切なことだという事です。

今までにした事の無い生け方に挑戦する。
自分なりの新しい模索を形にして発表する。
ワンステップ高い技術を必要とする生け方に挑戦する。
その挑戦の内容は全員それぞれに違います。
しかし全員に共通しているのは、何かしらの挑戦を行なわなければ勿体ないという事です。

私たちの日頃の研鑽と挑戦が盛り込まれているそれぞれの作品を、9月から予定されている各いけばな展でご覧いただき、お楽しみいただければ幸いです。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。