今年の光風流カレンダーは「日本昔話」をテーマに1年間を12の作品でつづってゆきます。1月の作品は「貧乏神と福の神」です

こんにちは、内藤正風です。

今年の正月はイタリアンシェフが作るお料理三昧で、最高に美味しく幸せな新年を過ごしています。

失礼な言い方になっちゃいますが、やっぱプロは違いますね。
同じ食材を使って家庭用の道具を使って、素人とは全く違うレベルの食べ物がどんどん目の前に生み出されてくるのですから。

今年の光風流のカレンダーでは、1年を日本昔話でつづります

光風流では毎年カレンダーを発行し、皆さんに楽しんで頂くと共にご好評をいただいています。
そんな光風流のカレンダーの特徴は、毎年テーマを設けて1年12カ月を表現していることにあります。

昨年、令和2年は光風流が創流60周年という事で、節目を重ね真っ直ぐに勢い良く伸びる「竹」にあやかって「竹の器に生ける」というテーマで12カ月の作品をお楽しみいただきました。
そして今年、令和3年のカレンダーでは「日本昔話」をテーマにして1年間を表現しつづっております。

スマホで大概のことが出来る時代になったからこそ、紙のカレンダーにしか果たすことが出来ない価値や役割があるのです

いまやスマホがあれば、大概のことが出来るようになっています。しかしそんな世の中になってきているからこそ、逆に紙のカレンダーだからこそ持つことが出来る意味や価値が生まれてきているのも事実だと思います。
それは、日と曜日を確認するというカレンダー本来が持つ機能ではなく、その他の部分にあります。

たとえば、スマホやタブレットでは画面の大きさでしか表示することが出来ませんが、紙のカレンダーならばそれ以上の大きさで表示し作品の迫力を楽しむことが出来ます。
毎日の動線の中で、自然に目にすることが出来るようにもなります。
あるいは、自分が作りあげた作品や自分の友人が作り上げた作品がカレンダーになるなんて経験をお持ちの方は、日本でいけばなをされている人の中ではほとんどありません。そんな希少な体験をしていただくことも出来ます。
年末のご挨拶の時などに、自分の作品や友人の作品が掲載されているカレンダーを先様にお渡ししていただくことが出来ます。

こんな風に例を挙げればきりがないですが、紙のカレンダーだからこそ果たすことが出来る役割があるのです。

令和3年1月の光風流カレンダーの作品

ってことで、令和3年の最初となる「光風流カレンダーの作品」を紹介させて頂きます。

◇作者
松尾 良甫

◇物語
貧乏神と福の神

◇花材
ベッコウマサキ、アジサイ、ヤナギ、アンスリューム、ホウキグサ、サクラ、セロジネ

◇花態
生花 現代花

◇花器
竹筒組合せ

◇敷板
組合せ花台

この作品を生けた松尾良甫さんから、作品についての一言

今年のカレンダーは「日本昔話」と言うテーマでお花を生けることになりました。

長い方の筒には”福の神”を、短い方の筒には”貧乏神”を生け表しました。
どの様にして表現したらよいのか色々と考え、苦しんで苦しんでやっと出来上がりました。

貧乏神は痩せ衰え、そしてもう髪の毛は乱れ、顔や手足はガリガリで見る姿もないような感じをイメージしました。
けれども堅実に生活を送っていれば、最終的に福の神が来て幸福な生活を送ることが出来るようになる「貧乏神と福の神」の物語を感じて頂きたかったので、のびのびしたような空気も感じて頂く事が出来るように生けあげました。

私の人生の代表する作品の1つだと思っております。

カレンダーの作品を生け込み中の、松尾良甫さん

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。