「ひょうご文化交流のつどい」の舞台花を生けて思った、いけばな作品には ”作者のどんな思いが内包されているか” が大切だという事

こんにちは。内藤正風です。

昨日、ホテルオークラ神戸において開催された「ひょうご文化交流のつどい」において舞台花を生け、まさしく会場に花を添えさせていただきました。

花材・・・ナンテン、ダリア、オリエンタルリリー、グラジオラス、アルストロメリア
花器・・・陶器製壺
花態・・・投入

令和の安寧を祈念する作品

ちなみに「ひょうご文化交流のつどい」の式典中に、壇上に上がって作品の説明をさせて頂きました。

 

この度の作品は、令和最初の年に開催される「ひょうご文化交流のつどい」になりますので、令和の安寧を祈念する作品として生けあげました。
っていっても、何がどうなってなんじゃらほい!ですよね。。

まず「ナンテン」は古来より”難(ナン)を福に転(テン)じる”といわれ、おめでたい花材とされています。そのナンテンを主材に使い、厄災の無い時代を祈念しました。

そして色花には全て赤色系の物を用いました。写真で見ると白色に見えているお花も、ピンク系など全て赤系のお花を取り合わせています。
「赤」はパワーを表す色であると共に、日本では古来より「魔除け」として用いられており、これは例えば、神社の鳥居が赤色であることからみてもお分かりいただけるのではないかと思います。

このように悪い事を退け、明るい時代となるように祈念して生けあげた作品です。

”いけばな” は、お花を綺麗に生ければよいだけのものではない

「いけばな」と聞くと多くの人が、お花を綺麗に生けるものだと思われています。
たしかに「いけばな」ではお花を生ける知識や技術を学びます。しかしそれは、自分が表現したい事や伝えたい事をお花を使って表現するための方法を学んでいるのです。
いうなれば、季節感を表現したい。イベントや歳時を表現したい。誰かに愛を伝えたい。お祝いの気持ちを表現したい。そのための手法を学んでいるのです。

今回のお花も、たんに目先の綺麗さだけを求めて生けたものならば、意味も深みも重みも価値も何もないペランペランな作品になってしまいます。
だってただの装飾でしかないのですから。

私は”いけばなの作品”も”人間”も、どんなものが内包されているかが一番大切なのではないかと思うのです。
どんなに美人でも男前でも中身が全くなければ、一緒に暫くいてもスグに飽きちゃいますよね。うわっ軽~~、中身無いやんって。
(笑)
しかし逆に、話をすればするほど話題が豊富で楽しく深みがあると、とても魅力ある人と思いますよね。

魅力って私は内から滲み出すものだと思うのです。
人ならばその人の人生の一端が感じられたとき、いけばな作品ならば作者の意図の一端が感じられたときに、うわっ!!ってなるのではないかと思うのです。

「いけばな作品も人も、内から滲み出すものが多ければ多い程、魅力的になり、ドンドン惹かれてゆく」、そんなことを改めて思った1日でした。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。