「お彼岸」をいけばなの目線で見てみる | 季節の節目に、もう一度まわりを見てみよう
ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。
さて9月も半ばを過ぎて、この日曜日には「彼岸の入り」です。
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がありますが、彼岸というのは、日本人にとって昔から馴染み深く大切にされてきている節目になります。
私もつい先日、市内の某団体の例会の時に、会長のお話の中で彼岸のお話を聞いたところなので、今日は、そんな彼岸について「いけばな目線」で取り上げたいと思います。
そもそも彼岸とは何か
彼岸という言葉には、仏教の考え方が関係しています。
仏教には西方浄土という言葉が有り、これはつまり西に極楽があると考えられており、この極楽とは「あの世」をさす言葉になります。
そしてあの世の事を、向こう岸、つまり彼の地の岸という事で「彼岸(ひがん)」といい、それに対するこちら側、つまり私たちが生きている「この世」の事を、こちら(此)の岸という事で「此岸(しがん)」といいます。
彼岸は、なぜ「あの世が近くなる」と言われるのか
ところで「お彼岸」には、「あの世」と「この世」の距離が一番近くなると言われていますが、何故だかわかりますか。
実は先ほど書いた ”春分の日や秋分の日に、太陽が「真東」から「真西」に動く” と言うことが大きな関係をしてくるのです。
これ、三途の川を太陽が横切る角度が変わる事によって、あの世とこの世の距離が変わると言うことなのですが、これ言葉で言っても全く分かんないので、絵にかきますね。
- 彼岸の時(太陽が真東から昇って真西に沈む)
- 彼岸以外の時(青色で書いたように太陽が動く)
わかります?
太陽が真東から昇って真西に向かって三途の川を直角に横切るか、それとも斜めに横切るかの違いで、三途の川の上を通る距離が変わるって事なんです。
ようするに、あの世とこの世の間にある三途の川の幅は変わらないんですが、その渡り方が変わるので距離が変わってくるって事なんです。
ええ、分かっちゃえば、な~んだ。ってことなんですよね。
こういう理由からお彼岸には、「あの世」と「この世」の距離が一番近くなると考えられており、仏様をおまつりするのに相応しい時と言うことで、お墓参りをしたりお祀りをするようになっているという事なのです。
彼岸のおはぎにも意味がある
そして、彼岸といえば、もう一つ忘れてはいけないものがあります。それは「おはぎ」です。(笑)
彼岸になると、おはぎを食べる。これも日本人にとっては、お馴染みの習慣です。
ちなみになぜ彼岸には「おはぎ(ぼた餅)」を食べるか分かりますか。これいけばな的視点で考えるととても簡単なんです。
いけばなでは「五行(ごぎょう)」という教えを大切に考えるのですが、おはぎに使われる小豆って赤色ですよね。この赤色というのは五行における「火(か)」にあたります。
「火」は強い生命力や太陽を表し、赤色には古来より魔除けや厄払いの力があると信じられており、赤い色の小豆を使ったおはぎを食べる事で、季節の変わり目に邪気を払い、家族の無事を祈ったという事なのです。
なので彼岸にはおはぎをお供えして、先祖供養を通じて敬い、季節の変わり目を家族みんなで健やかに過ごすこと、その両方への願いが込められているという事なのです。
季節の節目に、立ち止まってみる
現代では、太陽がどこから昇ってどこへ沈むのかを意識して生活することなんて皆無かもしれません。罰当たりな言い方をすると、彼岸だからといってお墓参りをする人も減っているのかなぁと思います。
それでも「彼岸」がある事によって、先祖のことを思うキッカケになっているというのは、考えてみれば凄いことだと私は思うのです。
いけばなは、身の回りにあるものをよく見るところから始まります。それはお花の材料だけではなく、季節を感じ、自然を感じ、今ここにあるものに目を向けるという事です。
なので今年のお彼岸は、少しだけ周りに目を向けてみてはどうでしょうか。空を見て、太陽の動きを感じて、季節の移り変わりを感じる。ご先祖様の事をちょっとだけ思ってみる。そんな時間を持つだけでも、いつもの日常が少し違って見えてくるのではないかと思います。
内藤正風PROFILE

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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。






