作者の人生と言うフイルターを通して作品を見ると、今まで無機質に感じていた作品が命を感じる存在に見えてくる
ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。
昨日は兵庫県いけばな協会の総会があり、兵庫県立美術館に行ってきました。
さて突然ですが、皆さんは美術館や美術展は行かれますか?私は出来る限り行くようにしています。って言っても、美術に造詣が深いわけでもないですし殊更に勉強好きという訳でもないんですけどね。(笑)
絵を見て好き嫌いは感じても、良し悪しなんてまるっきりわからない
絵や書や彫刻や陶器なんて見ても、美術品として価値があるかどうかなんてよくわかんないです。しかし好きとか嫌いとか面白いなぁとかくらいは感じます。
けれどこの作品がどう素晴らしいとか、この作品のどこが評価に値するとかなんて、まるっきりわかんないというか、そんな事にはまるっきり興味ないので。。(笑)
そんな風に思ってよくよく考えてみたら、私は作品自体の価値にはあまり興味が無く、その作品が自分的に良いなぁと思っているかどうかと、その作品を作った人に興味があると言うことに以前に気付きました。
たとえば1つの絵画が有るとします。その絵を見て直感的に「好き」と思ったら私にとって良い作品になります。あるいは、その絵の作者がどんな人生を歩み、その作品を書くきっかけになった事柄やその作品に注ぎ込んだ思いってどんなのだったのか。そしてその時の心の有り様や人生がどんな風に作品の中で表現されているのかって事に凄く興味が湧くのです。
人と言うフイルターを通して作品を見ると、無機質に感じていた作品が命を感じる存在になる
私は美術館などに行ったときには、できるだけ学芸員さんのお話を聞いたり音声ガイドを借りて展覧するようにしています。
これは若い時に美術館とかって、サァ~って流してみる感じだったのですが、ある時、作品を見る前に美術館の学芸員の人からお話を聞かせて頂いたら、その作者がものすごい破天荒な人生を歩んでいる事を知り、その作者に興味をもって作品を見たらすごく面白く感じたのです。
奥さんがいるのに好きな女性が出来てそんな中で書き上げた作品。お母さんが亡くなって失意の中で書き上げた作品。第二次大戦で国から戦意高揚の絵を描けと言われて本意ではないのに書かざるを得ない中で書いていた作品。
作品の良し悪しや価値なんて私はわからないですが、その作品の生まれた背景と言うかその作品を生み出した時の作者の心の有り様とかを知ると、凄く興味を持ってみる事が出来るようになってきたのです。
美術作品は、単なる作品です。しかし作者の思考や価値観や人生というフイルターを通して見ると、カッコつけているように見えたりお高くとまっているように感じたりしていた美術作品が、凄く人間臭くて身近な存在の様に思えてくるのです。
美術館の楽しみ方
美術館や美術展を見に行くときには、事前にその作者の事を少し学んでから行くと本当に楽しめるようになると思います。今の時代ですからネットで検索すれば簡単ですよね。中には有名な人だと映画や小説になっていたりする人もありますから、そういうものを見たり読んだりしてゆくのも良いともいます。
なので私は光風流の研修などで美術館とかに行くときには、出来る限り学芸員の方に作者や作品についてお話をして頂くようにお願いしています。
だって、美術館では作品を鑑賞するというよりも、作者の人となりや歴史的背景などを通じて展示されている作品を見ると、ものすごく人間臭い面白味を感じることが出来るようになるのですから。
昨日の兵庫県立美術館では、そんな事を改めて思ったので、今日のブログネタにしてみました。
内藤正風PROFILE

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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
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