12月に開催する「光風流いけばな展」は、日頃のお稽古の成果を発表するだけではなく”実験する場”でもあるのです

こんにちは。内藤正風です。

私ども光風流では毎年いけばな展を行っており、今日は朝から12月に開催を計画している「光風流いけばな展」の説明会を開催しました。

私は"いけばな展"は「実験場」でなければならないと思っています

私はこの毎年開催している”光風流いけばな展”は、日頃のお稽古の成果を発表するだけにとどまらず、「実験場」でなければならないと私は思っています。

光風流ではこの”いけばな展”のほかに、各地の支部において開催されている”いけばな展”や、グループや個人で開催する”いけばな展”などがあります。そんな中でこの”いけばな展”だけは、「実験場」としての要素をなぜ併せ持たないといけないと思っているのかというと、それは「進展(しんてん)」が大切だと思っているからなのです。

”いけばな”は、世の中の動きに大きな影響を受けます

”いけばな”は、私達の生活と共にあります。
自分のお部屋に生けているお花。ホテルや旅館で見かけるお花。ショーウインドーに生けられたお花。舞台を彩るお花。お祝い、不祝儀。日常、非日常問わずあらゆる場面に”いけばな”にはその役割が有ります。

人がお花を愛でたり生けたりするということは、そこに好みや流行というものが大きな要素として存在しており、世の中の価値観や好み、住宅環境やライフスタイルの影響を大きく受けると言うことなのです。

”床の間”と”いけばな”

現在の”いけばな”は床の間と言う環境を抜きにしては語る事が出来ません。
一例を挙げるならば”いけばな”は、江戸時代中期に一般のお家にも床の間が普及したことによって、その発展に大きな影響を与えました。
すなわち床の間にお花を飾ると言う価値観が一般のものとなり、床の間に相応しいお花の様式が確立されたのです。

しかし昨今の住宅環境を見た時に、床の間ってほとんど見かけなくなりましたよね。
っていうか畳の部屋すら見かけなくなってきています。(汗)

そういう状況の中で「いけばなは床の間のものでなければならない!」な~んて言っていたら、”いけばな”は皆さんの日常どころかこの世から消えてなくなってしまいかねないのです。

”いけばな”が未来に生き残るためには

じゃあどうすればよいのかというと、”いけばな”が時代にあわせて変わってゆくことが不可欠なのです。
いうなれば、ダーウインが進化論の中で言われている「適者生存」こそがその答えなのだと私は思っています。

ダーウインは進化論の中で、弱者が消え、強者が生き残るのではない。その環境に適合できたものが生き残っている。すなわち環境に合わせて変化する事が出来たものが適者であり、適者だけが生き残る事が出来るのだと説かれています。

これって”いけばな”も”商店”も”企業”も同じ事だと思いませんか。

変化には正解も間違いもない

”変わる”ってたったひと言ですが、変わるには長い時間と大きな労力が必要です。だって未来と言う誰もこれまでに足を踏み入れていないの中で模索するしかないのですから。
だから正解も不正解も無いというより解らないのが普通なのです。

今日の正解は明日の不正解

仮に今している事が今日は正解だったとしましょう。
と言うことは、明日には時代遅れになってしまっているって事です。
だって時代はひと時も休まずに常に移り変わって言っているのですから。

とにかく変わろうとする。すなわちそれは色々な事に挑戦するって事です。
今までの歴史の中にアイデアの種やヒントがあるのです。”いけばな”で言うならば、約700年の歴史の中で積み重ねてきた伝承と伝統の中にこそ、変わるためのアイデアやヒントが散りばめらているのです。

挑戦や実験を行うに相応しい場、それが”いけばな展”です

私は”いけばな展”こそ、挑戦や実験を行うに相応しい場だと思っています。
日頃のお稽古で知識や技術を豊かにして、その土台を元にして色々な変化や応用をする。挑戦や実験を行う。
そう言う中で得た経験こそがノウハウとして蓄積されて、その後の変化に結びつく事が出来るのだと思っています。

これまでに開催してきている「光風流いけばな展」でも、色々なデータとノウハウを得ています。それは私だけではなく、光風流として、作品を出展してくださったお一人お一人として、それぞれの立場で大きな学びを得る事が出来ているのです。

そいう意味で私は「光風流いけばな展」は実験場だと考えているのです。

1歩先んじる経験は万の可能性を生み出し、その万の可能性の中にだけ未来へつながる扉があるのだと思います。
1年先5年先がどうなるかなんて誰にも予測の出来ない時代です。そんな中では、ただひたすら模索しもがく事こそが、未来に生き残るために唯一出来る事なんだろうなと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。