私が物事を思案する時に大切にしていることの1つに、「不変」と「改新」があります

ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。

台風10号がついに九州に上陸し、これから日本列島を縦断してゆく様相を呈してきました。

九州の皆様はじめ台風の進路にあたる皆様、被害が出ないことをお祈りいたしておりますし、仮に被害が出たとしても少しでも小さく済むように祈っています。

私が何かに取り組むときのキーワードは「不変」と「改新」

昨夜、光風流の幹部の先生方と会議を行ない、色々な事を相談させていただきました。その一部をご紹介させていただきますと、私ども光風流において年に4回発行している流誌「光風たより」の200号発行記念特別企画についてや、今年の10月に開催する光風流いけばな展のこまごましたことについての確認や再考、来年は光風流65周年の節目になりますので、その記念事業についてなどなど、予定の時間があっという間に過ぎてしまうほど盛りだくさんの内容でした。

そんな盛り盛りの会議を通じて、全ての議題や検討事項に共通していたキーワードがありました。それは「不変」と「改新」という事でした。

いけばなには長い歴史がありますが、それだけではありません

「いけばな」と聞くと多くの方が、”歴史がある” とか ”古くからのことを伝えている” というイメージを持たれます。確かにいけばなは約700年の歴史がありますので、こういうイメージは間違いではありません。がしかし、これらのイメージはいけばなの持つ側面のごく一部を表しているものにすぎず、いけばなはもっともっと沢山の側面によって成り立っています。

まずいけばなについて皆さんに是非とも知っていただきたいのは、いけばな=昔からの事を今に伝えているもの、つまり ”不変” という事ではなく、「時代と共に常に移り変わってきているもの」であるという事です。
もちろん皆さんがイメージされているように「いけばな」には古来からの伝承を今に伝えている側面もあります。がしかし、その歴史が長いという事は、その時代時代の荒波に中で「いけばな」は何が出来るかと言う事を模索し続けて、新しい挑戦をし続けてきているからこそ、積み重ねることが出来てきているのです。

いけばなの歴史は変革の歴史なのです

約700年前に「いけばな」は仏教伝来と共に伝わってきた「供華」をルーツとしており、そこからこれまで歴史を積み重ねてきています。
そしてその時代時代の華道家が色々な花形を考案し発表してきました。特にお花を飾る環境の変化は、いけばなの花形に変革をもたらす大きな要因となりました。
今、基本の生け方やスタンダードな花形として伝わっているものは、200年ほど前に新しい花形として発表されたものであったり、100年前に新しい花形として発表されたものであったりするのです。
すなわち不変と改新が両輪となって、世の中の価値観や流行り、住宅環境などの移り変りにあわせて、常に変革してきたのが「いけばな」なのです。

新しい可能性の模索をお楽しみください

私は日頃何かを考える時には「不変」と「改新」を常に意識しています。つまり言い方を変えると、「変えてはならない事」と「変えなければならない事」です。

本質は変えてはならないことが多いです。しかしながら本質を伝えるための手法は、その時代に合わせて、世代に合わせて、環境に合わせて、好みに合わせて、その時々に合わせて無限に変化してゆかなければならないのです。

「これは変えても良いのだろうか」という自問自答、「これは変えなくても良いのだろうか」という自問自答。その積み重ねこそが、本質を大切にしながら未来を見つめているという事につながるのではないかと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。