いけばな展が作品を見るだけの機会ではなくなった時、もっと面白い催しになると思っています。それは過程にこそ経験や学びや人との関わりがあり、共感が生まれるからです
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こんにちは、内藤正風です。
今日は朝から晩まで、光風流本部いけばな教室においてお稽古を行なっています。
最近のお稽古は、今月末に開催する「光風流いけばな展」の作品作りが大半になるので、なかなかに盛り上がったり活気に溢れたりしています。
いけばな展で一番面白いのは「作品作りの過程」です
ほとんどの方が「いけばな展」って聞くと、「展覧会の会期中に会場に足を運んで展示されている作品を見て楽しむ」と思われていますよね。
私も今年の前半までは、そういう考え方でいました。
しかし今年の年頭から新コロの拡散によって世の中の色んな事が大きく変化しました。
そんな中で私自身、光風流の全ての事業を見直すというよりはこれからに対応した形にどのように変化してゆくかという事を常に考えるようになりました。
そんな中で、いけばな展もこれまでと同じ形では開催する事は不可能なのですから、「さあどうするかなぁ。。。」と考えていく中で思いついたのです。
コロナで人ごみに行きたくない!。あるいは密を作ってはいけない!!。ってことなのですから、会場に行かなくても楽しむことが出来るいけばな展を作っちゃえばいいのだと!!
そう思っていけばな展の一連の流れを見直してみたら、私ってとても大きな勘違いをしていたことに気付いたのです。
それは、いけばな展って作品を見て楽しむ面白さももちろんあります。しかし実はそんな事よりも、いけばな展自体を企画運営したり、作品を構想したり制作してゆく過程の方が、絶対的に面白いし魅力があるやんって思ったのです。
思い込みって怖いですね。
過程の方が魅力的なのは、そこに経験や学びや人との関わりがあり、共感が生まれるからです
そうなんですよ!過程が実は面白いんです。
例を挙げるならば「プラモデル」や「刺繍」とかが一番分かり易いと思います。
車のプラモデルってなぜ買ってくるのでしょう。出来上がった完成品を買ってきた方が綺麗だし手間もかからないんです。
あるいは刺繍とかもなぜ生地と糸を買ってきてチクチク縫うのでしょう。刺繍されたものを買ってきた方が綺麗だし手間もかからないですよね。
すなわちどちらも、作りあげてゆく過程が面白いってことなんですよね。
思考錯誤したり分からない事はググって調べたりしながら、学びを得たり、初めての事に取組んで経験をしたり、同じ趣味を持つ人同士で情報交換をしたり、同じ体験を持つ人同士が共感しあったり、そういう過程を積み重ねながら作りあげた作品だからこそ、オンリーワンの魅力を感じることが出来るようになるんです。
単に綺麗に出来ているプラモデルや刺繍ならば見ても「ふ~ん。。。」で終わっちゃいます。
しかし作者の最初からの試行錯誤や成長の様子や制作の過程を見ていると、見ている人も思い入れが入りますから、作品の出来不出来に関係なく「おおおぉぉ~~~、出来上がったやん~」とか「これがそうかぁ~~~~」って、一緒に喜ぶことが出来るようになるんですよね。
いけばな展は作品を見るだけの存在ではなくなった時に、もっと面白い催しになる
これから世の中はVR(バーチャルリアリティー)の時代になります。ってかゲームなどはもう既になっていますよね。
先日なにかで目にしましたが、大手旅行会社がVRで海外旅行を出来るようにしてお土産付きで行なっているそうです。
スマホがこれだけ普及していますから、水中眼鏡みたいなアダプターを作るだけでVRは出来るようになるでしょう。通信環境も今年から5Gがスタートしたのですから問題ありません。
という事は、いけばな展がVRになるのは時間の問題ですから、会場に行って作品を見るだけのいけばな展は価値が無くなってしまうってことになりかねないのです。
会場に行って自分の友達の作品を見たり友達と出会って話をするというのは、今も既にある楽しみ方です。
これからのいけばな展は今ある楽しみの他に、いけばな展自体の企画運営を最初から見ていたり、作品を構想したり制作してゆく過程をその都度動画などで見ていた作品を実際に会場に足を運んで、「お~よく頑張りましたね~」ってお遊戯会のお父さんお母さんやおじいちゃんおばあちゃん的な感じでご覧いただくようになれば、楽しみが大きくなるし広がると思うのです。
いけばな展は会場に足を運んで作品を見るだけの機会ではない。そう考えてこの度の「光風流いけばな展」では、会場に足を運ばなくても楽しむことが出来るいけばな展にしてゆきたいですし、新しい実験場になると思っています。
光風流のSNS委員の皆さん、どんどん発信してくださいね~。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。