手法と目的が逆転してしまわないようにするには、「本質は何なのか」をいつも意識することが大切です

ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。

昨夜、光風流の先生方と打合せを行ったのですが、そんな中で「あ~そうだよなぁ」と思ったことについてブログを書きたいと思います。

人に何かを伝える時に、本質が正しく伝わらなければ意味がない

流派では様々な事を皆さんにお伝えさせていただきます。いけばな展や研修会や研究会を開催するにあたってのご案内。流派や支部の運営に関すること。いけばなの生け方に関すること。など色々な事をお伝えしなければなりません。
そんな中、ついつい
やっちゃいがちな事の1つに、「とにかく決定事項を伝えなければ」と考えてしまう事です。

たとえば、ある1つの事についてお知らせするときに、その事柄の審議に関わったご本人は、「なぜそのようになったのか」という事を全てわかっています。そして全てわかったうえで決定事項を皆さんにお伝えする流れになっているのですが、この時に一番大切なのは「なぜこのようなご案内をしているのか」という本質が相手に伝わるようにする」という事なのです。

目で見えるものに本質は無い

例えば一例を挙げると、光風流では毎年年頭に開催している新年賀詞之会において、その年の光風流のカレンダーの作品写真をA4サイズにプリントして額に入れたものを、作者の皆様お一人お一人に贈呈させていただいています。
この行為だけを見ていると、写真の贈呈を行なった様に見えているかと思いますが、この行動が目指しているのは全く違う事になります。

ではこの一連の事は何を目的として行なったのかというと、カレンダーに作品を提供してくださった作者を光風流の皆さんに紹介するという事を目的に行なったのです。
なのでここで大切なのは、「カレンダーに作品を提供してくださった方を、光風流の皆さんに紹介させていただきハレの場とする」という事であって、写真の額を贈呈するという事が目的ではないのです。
つまり写真の額の贈呈はあくまでも手法であるという事です。

お気づきいただけましたでしょうか。写真の贈呈式を行なったというのと、カレンダーの作者の披露を行なったというのでは、全く意味合いが違ってくるという事に。
写真の贈呈式と捉えた場合には、写真をとにかく渡せばよいという思考になってしまいます。しかしながらカレンダーの作者の紹介ということならば、写真の贈呈という行為を通じて、いかにしてハレの場とするかという事が重要になってくるのです。
そしてハレの場として、もっと良い方法がある場合には、やり方を自由に変えてゆくことも出来るという事なのです。

手法は道具であり、”何を目指しているのか” こそが本質

日頃私たちが目に見えている事の大半は、単なる手法に過ぎません。手法とはすなわち道具です。金槌やのこぎりと同じです。その時その時に合わせて必要な道具は変わってきます。
なのでどんな道具を使うかという事は、決して目的にはならないし、してはいけないのです。

例えば、書類を入れる木箱が必要だから制作しなければならない場面では、板を必要な大きさに切るときにノコギリを使いますし組み立てるときには釘や金槌を使います。
しかし板が既に必要な寸法になっているのならばノコギリは使わなくてよいですし、組み立てるときにネジ釘を使うならば、金槌ではなく電気ドライバーが必要になってきます。

つまり、どんな道具(ノコギリや金槌)を使うのかではなく、書類を入れる為の木箱が必要であるという目的を見失ってはならないし、この木箱を誰かに作っていただこうと思ったり木箱づくりを手伝っていただこうと思うのならば、どんな木箱が必要でそれはどんなふうに使うのかという事がハッキリと理解できるように相手に伝える努力をしなければならないという事なのです。

人はついつい目につきやすい手法を目的と勘違いしがちですが、「本質は何なのか」を見失わない事こそが、一番重要なのです。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。