いけばな作品で伝わりやすいイメージを作るには「絞」・「捨」・「誇」が不可欠です

こんにちは、内藤正風です。

今日は朝から「お題講習会」の1日目となる ”講師・准講師対象クラス” を開催しています。

“お題“とはすなわち「テーマ」です

“お題“というのは、年頭に宮中において催される「歌会始(うたかいはじめ)」において出される題のことを言います。
簡単に言うと、和歌を詠むために与えられたテーマという事ですね。

で、いけばなの世界では古来よりこの ”お題” に基づいた作品をお正月に生ける事が行われており、私ども光風流でも創流以来毎年行なっています。

「型」はイメージを具現化するための道具です

光風流のいけばなでは、まず最初に「型」を学びますが、これは型に縛りつけるためのものではなく、自分のイメージを具現化するための道具となるものになります。
なので1つでもたくさんの「型」を学び知っているという事は、自分のイメージを形にするときに役立つ手法を持っているという事になりますので、豊かな表現をすることが可能になるという事です。

なのでこの”お題”をいけばなで表現する事も、経験が1年の人よりも5年の人の方が豊かな表現が可能になりますし、5年よりも10年、10年よりも20年の経験がある人のほうが幅広く深みのある作品を作り上げる事が出来るようになるという事にほかなりません。

伝わりやすいイメージを作るには「絞・捨・誇」が必要です

イメージを形にする、お題をいけばなで表現すると一口に言いますが、これには不可欠なポイントがあります。
それは「絞・捨・誇」です。

まず「絞」とは、自分の持つイメージを”絞り込む”という事です。
イメージというのはえてして漠然としている場合が多いので、自分のイメージをデッサンして表現することが出来るくらいに絞り込んでハッキリとさせることが必要になります。

たとえば ”鳥” をイメージした作品を作ろうとした時に、表現したい鳥はどんな感じなのか。飛んでいるのか歩いているのか、日本の鳥か南国の鳥か、などを絞り込むことでイメージをハッキリさせるという事です。

そしてその次に行なうのは「捨」です。すなわち不要なものをそぎ落とすという事です。
先ほどの鳥で例を挙げると、鳥を再現しようとするのではなく、見た人が鳥を連想させることが出来るようにするという事です。
連想とは頭の中でイメージさせるという事ですから、そのために必要なのは具現化ではなく抽象化であり、そのためには不要な要素を取り去り簡素化させるという事なのです。

ここまで来たらあとは「誇」の作業に入ります。誇とは誇張するという事です。
先の「捨」で、いらないものをそぎ落とすことで残ったものが強く働くようにはなっていますが、それだけではまだ足りないので、誇張させる事によって分かりやすくしてゆくのです。

いけばなの醍醐味は、基本から離れ自分なりのイメージを形にすることにこそあります

いけばなは「型」を学ぶと思われている方が多いですし、いけばなは決まりが多くて窮屈とか堅苦しいといイメージを持たれている人も多いです。
しかしいけばなの醍醐味は、基本から変化応用し、自分なりの世界観を表現することに事あります。

「型」をなぜ学ぶのかというと、自分なりの創意工夫を加えて変化応用させるためであり、「型」は習得した後に ”破る” ことに事にこそ魅力が生まれてくるのです。

明日の「お題講習会」では、受講された皆さんにいけばなの醍醐味を感じて頂きますので、どうぞお楽しみにお越しになってくださいね。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。