”いけばな”は多様な表現があり、その中には「時間の流れの中の作品」と「一瞬を切り取った作品」があるのをご存知でしょうか
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こんばんは。内藤正風です。
今日は夕刻から”いけばな作品”の写真撮影に立ち会ってきました。私はこの”いけばな作品の写真撮影”が大好きです。
写真で撮影する”いけばな作品”は、お家で生けている作品とはまるっきり違う存在です
お家で生けて飾るいけばな作品と写真撮影をするいけばな作品は、全く別物だと言っても良いと私は思います。
普段は「目で見て自分が思う出来あがり」を目指して作品を作っていくのですが、ホームページや印刷物などに掲載するための作品写真の場合には、「カメラと言うレンズを通して見たときに自分がイメージしている出来上がり」になる様に作品を作り上げてゆきます。
これ、一見すると同じ事だと思われがちですが、実は全くの別物と言っていいほど違う考え方と全く違う作業で作品作りが行われています。
ちなみにこのふたつの違いを簡単に言うならば、”一瞬を切り取った作品作り”と、”時間の流れの中での作品作り”になります。
お家や会社などで飾っている作品は時間と共に生きています
いけばなは自然の植物を使います。これはすなわち、ひと時も同じ姿は無いということです。
花は「蕾」が開いて満開になり萎んで散ってゆきます。すなわちお花をお家で生けて飾ると、今日の姿と明日の姿は同じように見えて実は全く違っているということです。
なのでお家でお花を生けると”明日このお花咲くかなぁ~”という楽しみや、”お水をマメに交換して1日でも長持ちするようにしてあげよう~”という楽しみがありますよね。
これがすなわち「時間と共に生きている作品」という事です。
お花の一瞬の表情を切り取る事が出来るのが、作品写真です
写真で撮影した”いけばな作品”は、その作品の「一瞬」を切り取っています。
すなわち、写真で撮影された蕾のお花は永遠に蕾です。七分咲きのお花は10年後に写真を見ても七分咲きままです。
当然と言えば当然なのですが、その一瞬を写真で切り取って撮影することによって植物という限りある命を素材にした作品が、永遠となって完結して残ってゆくのです。
いけばなの表情と楽しみ方は1つではなく、無限にあります
この2つ、どちらの方法や楽しみ方が良いとか悪いとか、正しいとか間違っているということが言いたいのではありません。
いけばなは、書や陶芸や絵画の様に作品が後々に残らないです。というか、今の一瞬は今しかない姿であり常に移り変わってゆく作品と言うことが出来ます。
確かに写真では作品を残す事が出来ます。しかしそれは一瞬を切り取っただけのモノであって、その意味で言うと作品の全てを残しているものではないのです。
よく「いけばなは作品が残らないから残念だ」と言うお声を聴きますが、いけばなは唯一命あるものを素材として作品を作り上げる存在であるからこそ作品自体に時間の要素が含まれており、だからこそ作品自体が残らないことに価値があるのだと私は思います。
それとともにもう一方では、お花には無限の表情があります。蕾、半開、七分咲き、満開と常に移り変わってゆきます。
その無限にある魅力の中から一瞬を捉えて引き出し、永遠の命を吹き込む事が出来るのが写真による作品であり、だからこそ通常には無いいけばなの魅力を引き出す事が出来るのですしょうし、だからこそそこに価値があるのだと思います。
お花は後に残らないものだからこそ、その特徴的な一瞬を切り取り表現したいけばな作品。時間の流れの中で命の移り変りも含まれているいけばな作品。その両方がいけばなの持つ魅力に溢れたもので、どちらも本当に楽しいものだと思います。
そんな事を写真撮影をしながらふと思ったので、今日はブログに書いてみました。
これからもこの両方の楽しみを、もっと沢山の方に知ってもらいたいと思います。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
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