生徒さんを”大切にする”という事と”甘えさせる”という事は全く違う事です。言うなれば30歳で自立していない”おっさん”は人生の楽しさを知らないし見ていて気持ち悪いのです

こんばんは。内藤正風です。

ここんとこ忘年会や食事会続きで、順調に成長しています。人間が大きくなるのならいいのですが肉体が成長しています。それも縦にではなく横に。。。。。(笑)

大切に育てたお弟子さんが、大きく成長し飛躍してくれるのは本当に嬉しい

さて「成長」というと私達いけばなを指導させて頂く者としては、お稽古にお越しくださっている生徒さんの成長が何よりも嬉しいですし達成感を感じる事が出来るものだと思います。
大切に育てたお弟子さんが大きく成長し飛躍してくれるのは本当に嬉しいです。

活躍してくださっている姿を横で見ているだけで、嬉しくて嬉しくて笑みがこぼれちゃいます。

ただ指導者の先生の中には、お弟子さんを大切にするという事と甘やかすという事の区別をしっかりと持つ事が出来ていない先生がおられたりして、そういう様子を拝見すると残念だなぁ。。という気持ちになります。

自分で楽しみを見つけ出すことが出来るようにするのが一番大切

いけばなのお稽古を生徒さんが始めてすぐの時には、何をどうしたらよいかわからないのが普通です。
この段階では基本と呼ばれる「型」を中心にお稽古する事を通じて、生徒さんの中に色々な情報を溜め込んでいきます。

そしてその次には、自分で色々な事を考えたり決めたり挑戦してみるという事を行なう段階に入ってゆきます。
例えば”いけばな展”にどんな作品を展示したいかを自分で考えてもらうのなんて良い経験になります。

自分が持っている器の中からどんな器を使うかを考えたり決める。どんな材料を使いたいかを考えたり決める。どんな風な生け方をしたいのかを考えたり決める。
まだまだ未熟なステップであっても自分で考えたり決める事が出来る要素はイッパイあります。
これこそがいけばなの楽しさなのです。

指導者の先生が善かれと思って、手や口を出しすぎてはいけない

ここで指導者の先生が絶対にしてはいけないのは、私のもっているあの器を使って、材料はこんなものを使って、こういう生け方にしたらいいですね。。。って風に先生が全部決めちゃうことです。
一見すると手取り足取り指導してくださる親切な先生の様に思われる方もあると思いますが、これって最悪なんです。だっていけばなの楽しみは自分で生み出す事なんです。自分のイメージを形にする事なんです。
なのにその一番大切な部分を先生が決めてしまって生徒さんに何にもさせないだなんて、アイスクリームを買って美味しい所を全部先生が食べちゃって、残りかすを生徒さんに「はいお食べ~」って言っているのと同じなんですから。

そしてもうひとつ最悪な事が含まれているのです。それは自分で考えたり作り上げる練習をする機会を生徒さんから奪っているって事です。
最初から作品のイメージを作る事が出来る人は少ないです。イメージした構想を作品の形に作り上げることも最初は中々出来ません。なのでこういう経験を少しずつ積み重ねることで、生徒さんの力を育てる事が出来るのです。

生徒さんを育てるのは子供を育てるのと同じ

生徒さんを育てるのは子供さんを育てるのと同じです。例えばお子さんには「道を渡る」という事も少しずつ教えて1人で出来るようにしてゆきますよね。

まずは赤ちゃんの時には抱っこしてわたります。そして歩けるようになったら手を引いて渡ります。この時に信号を守るという事や横断歩道を渡るという事、車の前に飛び出してはいけないというような事を教えますよね。
そして手を引かずに一緒に渡ったりしながら、頃合を見計らって1人で渡らせてみると言う風にステップアップさせてゆきます。
そんな中で道路に飛び出そうとしたり、よそ見をしていて信号を見落としていたりしたときには叱りますよね。だって命に係わるんですから。

30歳で自立出来ていない”おっさん”は気持ち悪い

いけばなで生徒さんを育てるのも同じです。

いつまでも先生が手取り足とりしていては、生徒さんは自立する事が出来ません。
30歳のおっさんの横でお母さんが「あらあらお口にソースがついていますよ~。拭いてあげましょうね~」ってしているのと同じです。そんな事していたら依存心が強く無気力な生徒さんしか育たないです。

いつまでも先生が行動範囲を規制していたのでは、生徒さんは自分の世界を作り上げる事が出来ません。
30歳のおっさんの横でお母さんが「その集まりは行かなくていいんですよ~。私が行くところに付いて来ていたらいいんですよ~」なんて指示していたのでは、いつまでたっても仲間も友達も出来ないですし自分の世界を作り上げることすらできないです。

最初はしっかりと手を掛けて、早い段階から自立できるようにする

最初は生徒さんにはしっかりと手を掛けるとともに、いけばなを通じて学ぶべき大切な真理をお伝えする事が大切です。
しかし徐々に徐々に自分で考えたり判断する機会を作り、自分でいけばなを楽しむ事が出来るようにステップアップしていかなければならないのです。

生徒さんを大切にする事と甘やかせることは全く違います。
先生が必要以上に生徒さんに手を掛けているのは、先生本人のエゴでしかないですし自己満足や自己保身でしかないのです。
お弟子さんに大きく育ってもらいたいと思うならば、時には自分で頭を打ったり、考えたりする事も必要なのです。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。