3月になりましたので、光風流カレンダー「キッチン用品に生ける」の今月の作品を紹介します

こんにちは、内藤正風です。

今日から3月。昔から1月は「行く」、2月は「逃げる」と言いますが、ホントあっという間に3月になっちゃいました。この様子だとしっかりと意識して行動しないと、3月は「去る」と言われるように終わっちゃいかねませんね。

日本人は気持ちを切り変えるのが上手な民族です

古来より日本人は節目を大切にしてきました。
月の始まりである「朔日(さくじつ)」、月の終わりである「晦日(みそか)」、1年の始まりの「元日」、1年の最後である「大晦日」、あるいは3月3日の桃の節句のような「五節句」、春分のような「二十四節気」、土用のような「雑節」など、例を挙げればきりがありません。

このようにして日本人は節目を日常生活にうまく組み入れる事で、気持ちの切り替えを行ない、仕事や生活や伝承などがダラダラとしてしまわないようにしてきたのだと思います。
すなわち節目の前と後で気持ちが切り替わるという事は気持ちが生まれ変わるという事であり、日本人の思考を代表する「生まれ変わりによる永続性」が形になったものにほかならず、これは伊勢神宮の式年遷宮などにも通じる日本の特徴的な考え方でもあるのです。

光風流のカレンダーも、今日から新しい作品になります

光風流の今年のカレンダーのテーマは、「キッチン用品に生ける」です

いけばなは身近に存在するものを素材や器にして、お花を生け楽しむ事を古来より行なってきています。
そんな中で
今年のカレンダーでは、私たちの生活に極めて身近なところに位置する ”キッチン用品” を器に用いて1年の催事や季節感を表現しており、その意味でいうなれば、いけばなの原点を振り返りながら新しい事に挑戦する「不易流行」を体現したものという事が出来ると思います。

3月の光風流カレンダーの作品

それでは3月の作品を紹介させていただきます。

 

◇作者
平川 延風

◇キッチン用品

◇花材
シダレモモ、ナタネ、ツバキ

◇花態
生花

◇敷板

この作品を生けらた平川延風さんから、作品についての一言

3月と聞いて最初に思い浮かぶのは桃の節句です。3月3日は女の子の節句として一般的に言われておりますが、この日は五節句のひとつであって「上巳の節句」と言います。

通常はモモの持つ伸びやかさとか、温かさとか、ぷっくりとしたお花の姿などから女性的な印象を愛でているケースが多いと思いますが、モモは果実にも薬効があるとして言われております。
今回そのモモを生けるにあたって色々考慮しましたけれども、シダレモモという枝が下に垂れてゆく形の品種がありますので、それを使って素直に伸びる伸びやかさもありながら直線の持つ美しさ表現してみたいなぁと思いました。
モモにつきもののナノハナも足元にあしらってみました。

花器として今回私に与えられた課題は「お皿」で、お皿はさらさら花器になり様もなくどうしたものかと思いましたけれども、2枚の形の違ったお皿を組合わせて花器に見立ててシダレモモとの調和を図りました。

私が思っていた3月のイメージと皆さんの持たれている3月のイメージが合ったかどうかは、見て頂く皆さんの気持ちにお任せしたいという風に思います。

3月は季節の変わり目です。季節が変わってゆくなかでの移ろいもさることながら、体調の変化もあると思います。
どうぞ皆さん今年も元気で過ごしていただきたいと思います。

平川延風さんの光風流カレンダー 生け込み&撮影風景

スタジオで写真撮影のために、カレンダーの作品を制作されている平川延風さんの様子もあわせてご紹介させて頂きます。ここでしか見れない未公開映像も含まれています。
音が出ますのでボリュームにはご注意くださいね。

YouTubeでは色々な動画のアップも行っていますので、よければ「チャンネル登録」や「高評価」していただければ嬉しいです。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。