「期限」を ”間に合えばよいもの” と捉えるから、しないといけないことに追われ、完成度も低くなってしまうのです

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

今日は朝から終日、光風流本部いけばな教室においてお稽古三昧です。
いけばな作品を試行錯誤されていたり集中されている生徒さんの姿は拝見していてとても美しく、そんな姿を拝見しながら、今すぎ私自身も自分の作品作りを行うことで自分の世界にどっぷりと浸かりたい衝動に駆られることも多々あります。

期限は間に合えばよいものではない

いけばな展の時やどなたから依頼をされてお花を生けるときには、必ず「期限」が存在します。いけばな展ならば生け込みの時間が決められており◎月◎日◎時までに作品を仕上げておかなければなりません。
ちなみにこれはいけばな作品の制作だけの事ではありません。日常の色々なところに期限が存在しています。

そんな中、期限の事を、「その日までに間に合えばよい日」と考えておられる人が案外多いように私は感じる機会が多々あります。
例えばいけばな展の生けこみまでに作品の準備が間に合えばよいとか、原稿だったらその期限の日までにとにかく書き上げればよいというような感じに思われている方です。
この考え方って実は、完成度を高めたり自分の実力を高めたりすることが出来ない大きな要因みまってしまっていると私は思っています。

期限とは、その日までに一定レベル以上に達しておかなければならない日という意味です

いけばな展の作品は、生け込みの時に作品が出来上がっていれば、とりあえずは間に合っているという事になります。しかしそれは、その席を空席にすることがなかったという事だけにほかならず、展示するに値する十分なレベルの作品になっているかどうかとは別の話になるのです。

いけばなの作品は、自然の植物を素材にしますから、その意味では一発勝負的な要素が強いです。しかしながらそれは、その材料と向き合うのがその現場になるという事だけであって、だからこそ事前の準備がとても大きな存在として大切になってくるのです。
例えば、デッサンなどをして作品の構想を十分に練っておくことや、ほかの花材を使って事前にリハーサルというかお稽古を積み重ねておく事、そして生け込みの前に作品の下生けを行ない十分な準備をしておくことなど、出来る事はたくさんあります。
あるいは原稿を書くような場合には期限に間に合うように書くのではなく、期限の1~2週間前には書き上げておいて、期限までの間に見直しをして気の付いた部分に手を加えて完成度を高めてゆくという事も不可欠なことだと思います。

つまり期限というのは、間に合えばよい日ではなく、一定以上のレベルに到達したものを引き渡しする日という事なのです。

ギリギリ行動が自分の首を絞めているのです

期限に間に合えばよいという考え方をするから、しないといけない事に追われるようになってしまうのです。期限に間に合えばよいと思うから、やっつけ仕事になってしまうのです。期限に間に合わせることを第1に考えるから、作り上げたものを練り上げ完成度を少しでも高める事が出来なくなるし、自己のレベルアップにつなげる事が出来なくなってしまうのです。

期限は最終最後の日という意識をもち、期限に余裕をもってすべての行動を行なうようにすれば、自分の時間にゆとりが生まれますし完成度を高める事も出来るようになるのです。
ギリギリ行動をやめれば、それだけで人生が全然変わってくると私は思います。

 

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。