「葉牡丹」がおめでたい花材として、門松やお正月のお花に使われる理由
こんにちは、内藤正風です。
昨日、一昨日、一昨々日と、「おめでたいときに使う花材の何故?」という事で、松・梅・南天とブログで取り上げさせていただき一部の皆様に好評でしたので、味を占めて(笑)今日は葉牡丹について取り上げさせていただきたいと思います。
葉牡丹ほど冬に目をひく存在感のあるお花は、他にはありませんでした
葉牡丹がおめでたい花材として使われるようになった理由、それは昔の日本の冬にはパッと目を引くようなお花がほとんどなかったことが一番大きな原因です。
現在はお花屋さんに行けば、真冬の一番寒いときでも色々なお花がありますよね。洋花でも和花でも、沢山店頭に並んでいます。
これは温室の技術が進歩したり、交通の技術が進化したことによって可能になった事で、昔は冬に目を引くようなお花はほとんどありませんでした。
そんな環境の中で、牡丹の花を連想させる「葉牡丹」がとても目立っていたのは容易に想像できる事だと思います。
なぜ葉牡丹が、おめでたい花材とされたのか
とはいえ冬に目立つからという理由だけで、おめでたい材料認定がされたわけではありません。
「葉牡丹」は「葉っぱで出来た牡丹のような植物」という意味で、この「牡丹」という名が使われていることこそが、おめでたい花材とされるようになった原因になります。
すなわち、牡丹はそのお花の大きさや風情から「百花の王」とも呼ばれ別名「富貴花」とも言われ、おめでたいお花の筆頭とされている事が大きく影響しているのです。
ちなみに牡丹は春から初夏にかけてお花を咲かせるイメージがあると思いますが、実は牡丹には自然の状態で春と秋に花をつける二季咲きの牡丹の ”変種” になる「寒牡丹」と、春に咲く品種を人工的に冬に開花させた「冬牡丹」という冬に咲くものもあります。
しかしこの寒牡丹や冬牡丹は春の牡丹の花と比べるととても数が少なく貴重なものですし、その上に数が少ないという事は値段も高かったので、庶民には中々手が出せないものであり、それに代わるものとして葉牡丹が用いられおめでたい花材として重宝されたのです。
「冬牡丹」と「寒牡丹」
「冬牡丹」の特徴は、人間が温室に入れて無理やりに咲かせてから庭などに植えているので、
・葉っぱの緑色が綺麗な緑色
・葉っぱが沢山ついている
・茎がシュッとまっすぐに伸びている
という特徴があります。
一方「寒牡丹」の特徴は、気温の低い中を自分で咲いているので、
・葉っぱがほとんどない
・葉っぱがあっても綺麗な緑色ではなく、赤っぽい
・茎が木のような風情
という特徴があります。
葉牡丹は植えてすぐの年の魅力と、多年の魅力があります
余談になりますが、葉牡丹は植えた年のものは大きく迫力のある姿をしています。
しかしそのまま育てて2年目3年目になってゆくと、葉っぱ自体の大きさは小降りになってきますが、枝ぶりが面白くなって新しい魅力的が備わってきます。
どちらが良いということではなく、それぞれが持つ葉牡丹の魅力を楽しむのも面白いと思いますし、いけばなの花材としても役立てていただく事が出来ると思います。
育てて楽しみ、生けて楽しめる葉牡丹です。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。