器や道具の個々での貸し借りは、必ず人間関係を悪くします。良かれと思ってやったのに。。。にならないようにしましょうね

こんにちは。内藤正風です。

今日は車で移動しながらブログを書いています。
って言っても、助手席に座って書いているんですけどね。
(笑)

今日のブログはいつもよりちょっとだけ真面目に書いてみました。それはお花を生けるときに使う花器や道具の個人的な貸し借りについてです。

良かれと思ってされているのはわかります

いけばなをしている人は、日常的に目にしたり耳にしたりしている方も多い事と思います。
いけばなを生ける器や道具の貸し借り。

先生からお弟子さんに貸したり、友達同士で貸し借りしたり。

貸し出しを生業としてお金のやり取りがあるのならば何も言いません。それはビジネスですから、契約で色んな事が解決されていきます。
わたしが言いたいのは、個人的にお互いの行為で行なわれる無償の貸し借りの事です。

いけばなをしている人は、本当に人の好い方たちばかりです。自分の事を後回しにして困っている仲間がいたら助けてあげようというような人が本当に多いです。
そういう中で、よかれと思って自分の持っている器や道具を他の方に「よかったら使ってよ~」って言われる気持ちはよくわかります。
しかしその行為がもとで人間関係にヒビが入ってしまったり、ヒビが入らないまでも気まずさや不満を感じてしまったり、お弟子さんが育たなくなってしまっているパターンを、私はこれまでに数え切れないほど目にしてきています。

「貸してあげている」という気持ちがあるかぎり、あとには不満しか残りません

人間は人に何かをしたら「○○をしてあげた」って思っちゃいます。
そんな中で貸した品物が返ってきて、持ち主しかわからないような傷がついていたらどうですか。
「貸してあげたのに傷を付けて返してきた」とか「傷つけておいて一言も謝ってこない」とか「傷を付けているのにゴメンねだけで済むと思っている」とかって、自分が思うような謝り方をしてこない限り不満しか残らないです。
逆に借りた方からすると、傷をつけてしまったと言うことから後ろめたい気持ちになってしまったり、謝っているのに不機嫌な顔をされて残念な思いをされたりとか、こちらも不満しか残らないんです。

他にも、箱には入れて返してきたけれど入れ方が雑い。。とか、手入れもせずに帰してきたとか、不満を感じてしまう要素はいくらでもあるんです。

貸してあげるという行為の押し付けが、お弟子さんが育たなくなってしまう原因でもあるのです

いけばなはほとんどの場合、器にお花を生けます。
そんな中で先生が、自分の持っている器を貸してあげているとどうなるかご存知ですか?
その生徒さんは器や道具を所有することがなくなってしまうのです。

これって一見するととても良い事のように思われるでしょうが、実は最悪な行為なんです。
なぜならばお弟子さんが育たなくなってしまうのです。

最初にも書きましたように、いけばなには器がとても重要です。器が無ければお花を生けることが出来ないと言っても決して大げさではないと思います。
そんななかで生徒さんはいつも先生の器を借りていたらどうなるでしょう。

日頃は器が無いから、お花を生けることが出来なくなっちゃいます。
これってお弟子さんが成長できる土壌を奪っているってことなんです。
そして自分の器を持っていないという事は、手入れをする方法すら学ぶことが出来なくなっちゃうんです。

器によってはちゃんと手入れを行なわないといけないものがあります。
そんな時に自分で自腹を切って買っていると、自然に大切にしますし手入れの方法も知らず知らずに身についてゆきます。
そういうことを身につけることが出来なくしているっていう事は、生徒さんの学びを先生自らが阻害しているってことです。

良かれと思ってしたことが。。。

昔からの言葉に「良かれと思ってしたのに。。。」ってありますが、まさにそういう事なんです。

貸している側は、「良かれと思って」されています。しかしそのことによってどんなに沢山の弊害が生まれているかを是非考えて頂きたいのです。

もし、そんなこと言っても「私は皆さんの役に立ちたい!」「絶対に器や道具を貸したい!」って強く思われる方は、花器や道具を貸すのではなく差し上げて下さい。
プレゼントです。
そうすればこれまで書きました弊害は、全部ではないですがかなりの部分を無くすことが出来ると思います。

お金に関する言葉に「貸して不仲になるよりも、いつもニコニコ現金払い!!」っていう言葉がありますが、いけばなの器や道具も同じで、「貸して不仲になるよりも、いつもニコニコ現金で買え!!」が当てはまると思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。