悪気(わるぎ)がなければ、全て許される?
こんにちは。
いけばなの光風流家元 内藤正風です。
今日は「悪気がない」と言うことについてBlogを書きたいと思います。
いきなりのタイトルなので「なに〜?」って思われた方もおられるでしょうね。
先日、光風流の師範以上の人の中でも特に幹部として各地で活躍してくださっている先生を対象にした講習会を開催しました。
伝承の器「獅子口」
その講習会でその時には、日頃あまり目にすることのない器を使ったお稽古をしていただいたのですが、お一人微妙に形の違う器を持ってこられている方があったのです。
その方がお持ちになられていたのは、新品の器で、明らかに今回の講習会のために購入してご持参されたであろう事は明白です。
たぶんこの方は、講習会の年間スケジュールをご覧になられて「持っていない器なので買って用意していこう」と思ってくださったんだと思います。
そして地元でその方のお知り合いのお花の器を扱っているお店で注文して買われたのだと思います。
ここまでは、なに一つおかしな所は無いんです。
ただ一つだけ、その先生が持ってこられた器の事について、関わった全員がどういうものなのか知らなかったのです。。。
気持ちだけではどうにもならない
その器のご注文を受けられたお店の方は、お知り合いからのご注文なのでちゃんとしなければ!!と思って、花器を作っている業者さんに発注をかけられたのでしょう。
その注文が入った花器を作っておられる業者さんも、お取引先からのご注文なのでいい素材を使って良いものを作ろうとされたのだと思います。
ただ何度も言うように、誰もその器の事をご存じなかった。。。
花器を作っておられる業者さんは、見た雰囲気は同じような感じに作っておられました。しかしその器の本質となる部分をご存じないので、ちゃんとした仕上がりのものにはなっていませんでした。。。
注文を受けた花器屋さんは、いつも取引しているところが作ってくれた器なので、自信を持って、お客様であるその師範の先生にお売りになられたのです。ただしその器がどう言うものなのかを知らないのでチェックすることも出来なかった。。。。。
そして注文していた器を受け取ったその師範の先生は、信頼している花器屋さんなので、そんな間違いがあるだなんて思いもされていなかったと思います。。。。。
こうして見てみると誰にも悪意はありません。こいつ騙してやろうとか、そんなこと思っていないです。
けれど結果は残念なことになってしまっているのは間違いないですよね。
悪気(わるぎ)がなければ良いのか
昔から「悪気ないんだから。。。」って言いますよね。これって免罪符のように思っておられる方多いと思うんです。けれど私は悪気がないのが1番タチが悪いと思うのです。
だって「いけない事をした」って言う認識すらないんです。先ほどの例で言うならば、注文を受けた花器屋さんも、その器を作った職人さんも。
けれど、師範の先生がおかしな品物を摑まされてしまっているっていう事実は変わらないんです。それも結構なお金を支払って。。。
悪い事や間違った事をしたという認識すらないのですから、この事が改善されることはないですよね。
例えは悪いかもしれませんが、精神的におかしくて善悪の区別が付かない人が殺人を犯して、わからなかったからとか、判断ができていなかったって言っているのと同じです。
明らかにおかしな事が目の前で繰り広げられているのに、悪気がないから仕方ないで済まされたのでは、たまったもんじゃないですよね。
厳密にはおかしな事をした自覚すらないので、困るんですけどね(笑)
なので私は「悪気がないから仕方がない」って言うのは、おかしいと思うのです。ってかそう考えると、悪気がないのが逆に1番タチが悪いとすら言うことが出来るんじゃないかと思うのです。
そんな事を思った先日の講習会でした。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
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