1日1組限定の予約の取れない焼肉屋さんに行って思った、これからのいけばな教室のありようと可能性について

こんにちは、内藤正風です。

昨夜は予約の取れない焼肉屋さんに行ってきました。
美味しいのは言うまでもない事で、とても楽しくて大満足の時間でした。

どんどん予約が取れなくなっています

このお店ですが、昨日予約をして一番近々にとることが出来たのが来年の7月でした。え~っと8カ月先です。
これだけでも凄いのですがよくよく話を聞いていると、初めて予約のお電話をされたお客様は来年の10月以降でなければ予約が取れないそうです。ええ、1年待ちです。

ちなみに私がこのお店に今年の2月に行ったときには3か月先の5月で予約をとれたのですが、5月に行ったときには6カ月先の11月でなければとることが出来なくなっていて、日が経つごとにどんどん予約が取れなくなってきています。

予約が取れないのには理由があります

なぜこんなに予約が取れないのかというと、もちろん理由があります。
まず1番わかりやすい理由は、1日1組のお客様しか受けないお店だという事です。なので1カ月毎日休みなしに営業をしても30組しか受ける事が出来ないってことですね。
しかしこれは、理由の大元ではないと私は思っています。
それでは何が一番の理由かというと、大将のお肉に対する真摯な取り組む姿勢と、お客様と向きあう真剣な姿勢だと思います。

熱い!とにかく熱い!!

そんな大将のお肉に対する真摯な取り組む姿勢と、お客様と向きあう真剣な姿勢を一言でいうならば、熱い!!。もう何なら熱苦しいといったほうが良いくらいの、情熱と姿勢なんです。

お肉のうんちく、品質、メニュー、焼き加減は言うに及ばず、お客様に向き合う姿が、今日のこの時間を最高のものにするというただその一念でおられるのがすごく伝わってくるのです。

お客様を減らすという考え方

この熱さと姿勢を、来られたお客様に100%提供し、そしてお客様に満足して頂くためには、1日に何十組もお越しいただく従来の焼肉屋さんのスタイルでは絶対い不可能だったと思うのです。
だって1日に何十組にお越しいただいていたら、必ずどこかで行き届かなかったり100%ではない部分が生まれて来たりするのですから。

なのでこの熱さや姿勢を最大限に発揮すると共にお客様に満足していただく事が出来るようにするには、1日1組というスタイルの選択は、とても素晴らしいものだと思いました。

そしてそれと共にこのお店を拝見して、私は以前から光風流の皆さんにお話しさせていただいている事に間違いはないという新たな確信を持つことが出来ました。
それは生徒さんの数が少なくても成立し運営が出来る教室をこれからは作らなければならないという事です。

いけばな教室をすれば、大卒の初任給よりも収入の多い時代がありました

いまから30年前までは高度成長時代から ”いけばなブーム” と呼ばれる時代があり、結婚前の全ての女性は花嫁修業の一環としていけばなを習うという時代がありました。
その頃は1つの教室に50人とか100人の生徒さんがお稽古に来られているのは珍しくなく、どちらかというとそういう教室が普通でした。
そういう中で当時お月謝が4,000円くらいでしたから、4,000円×50人=200,000円で、大卒の初任給が170,000円くらいと言われていましたので、いけばな教室をすると毎月大卒の初任給よりも多い収入があったという事なのです。

前例踏襲ではなく全てを見直す必要性

しかし今、いけばながそのような一過性のブームとして捉えられる時代は終わり、いけばなを学ぶことを通じて日常生活やお仕事の役に立てたり自己磨きをしたいという、いけばな本来の姿に戻ってきました。
そして人口の減少という事もそこに加わり、”いけばなブーム”のころのようないけばな教室に生徒さんが押しかける様な状況は無くなりました。

その様な中で、30年前と同じ教室運営やお稽古のスタイルを行なっていたのでは、生徒さん方に満足していただく事は絶対に不可能なのは言うまでもありません。
ハッキリ言って、全てを見直さなければならないのです。

いけばな教室も、生徒さんの数が少なくても成立する考え方が必要

その様な中で私は光風流の先生方に、生徒さんが少なくても教室が成立する考え方をしなければならないですよというお話をことあるごとにさせて頂いています。
なぜならそれは、いけばな教室とかいけばなの先生はお仕事だからです。

しっかりとしたカリキュラムを生徒さんに提供しようとするのならば、自分自身の研鑽が不可欠です。
また開催している教室を責任をもって行なっていこうと思うと、会場費や人件費などお金の問題は避けては通ることが出来ません。

その様な中で私たちがするべきことは、少人数で運営が成り立つ教室づくりという事なのです。いつまでも以前にやっていたことに捕らわれるのではなく、いま、あるいはこれからの10年や20年を見据えてどうすべきなのかを考える事こそが大切だし、そこにこそこれからのいけばな教室の可能性があるのだという事を改めて意識する機会になりました。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。