いけばな作品作りには「主張」と「妥協」が大切な要素の一つになりますが、これはそのままお仕事や日常生活にも当てはまります
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私は全ての事において「こんな風にしたい」という思いが一番大切だと思っています。
それは今回のお祝い会の企画もそうですし、いけばなの作品作りも、お料理作りも、旅行も、何から何まですべての事において一番大切なことだと思っています。
「こんな風にしたい」というのはすなわち「主張」ですね。自分の思いや目指しているところが明確でなければ、良いものは生まれないと思うのです。
お料理で例えるなら、どんな料理を作りたいのか分からないのに具材を適当に鍋に入れて調理しても絶対に美味しいものは生まれません。あるいは旅行も何をするかわからないのにただウロウロしていても、楽しい時間や思い出に残る機会にはならないですよね。
もちろんいけばなの作品作りも全く同じです。
いけばなにおける”主張”とは「明確なイメージ」です
「主張」と言うのは、作品についての構成や意図などがそれにあたります。
私達は作品を作るときに、何かしらのイメージを持って作品作りを行います。
そのイメージが、形であったり色であったり、ご覧になられる方に何かを連想させるものであったり、その違いはあれど、イメージをしっかりと持って、そのイメージに少しでも近づけ、できる限りそのイメージ通りに作品が完成するように努力します。
これが言うなれば「主張」です。
しかし主張だけでは物事はうまく進まないのが世の常です。そこで必要になるのが「妥協」です
いけばなにおける”妥協”とは、「どんなふうに折り合いをつけるか」という事です
では「妥協」とはなんでしょう。妥協というと誤解される方が有りそうですが、言い方を変えれば調整すると言うことです。
いけばなでは自然の植物を材料として使います。
思う種類の材料を手配し使っていても、その枝振りや花の咲き具合まで全てが思い通りということはまずありません。
作品を展示する場所も、照明の具合や空調など、思わぬことも多々起こります。
そんな時には、その時ときにどんな風に帳尻を合わせるように作品を調整するかという能力が必要になってきます。
妥協といってもどうでもいいという妥協ではなく、自分のイメージや使う材料や場所などという環境との擦り合わせという意味での妥協点を模索するという意味であり、それは「どんなふうに折り合いをつけるか」という事なのです。
主張と妥協の複合こそが、調和を見出す原点なのです
いけばなの作品って、主張と妥協の複合により出来上がります。
すなわち用意万端整えておいて、その上でアドリブというか調和を見出すということであり、これこそがいけばな作品を作り展示する醍醐味でもあるのです。
そしてこの考え方はいけばなの作品作りだけに限られたことではありません。
お仕事や家庭や人間関係など、人間が生きてゆくうえでありとあらゆるところで一番大切なことになるのです。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。