一歩先んじる経験は万の可能性を生み出し、その可能性の中にだけ未来への扉がどこかに隠れているのです。

こんばんは。
いけばなの光風流家元 内藤正風です。

無事に「光風流いけばな展」を開催する事が出来て、ホッとしています。

今日は本部いけばな教室のお稽古日だったのですが、いつもいけばな展のあとの教室は、なんとなくのんびりな時間が流れます。
ええ、今日ものんびりとした時間の中で、お片付けや事務や残務などをしながらのリハビリ的な1日でした。
(笑)

いけばな展は「実験場」です

私は毎年開催している”光風流いけばな展”は、日頃の研鑽の成果を発表する場にとどまらず、「実験場」だと私は思っています。
実験場っていったいどういう事なのか、なにを実験するのかはこれから説明しますね。

”いけばな”は、世の中からの影響に大きく左右されます

まず”いけばな”は、私達の生活と共にあります。
自分のお部屋に生けているお花。
ホテルや旅館で見かけるお花。
ショーウインドーに生けられたお花。
舞台を彩るお花。
お祝い、不祝儀。
日常、非日常問わずあらゆる場面にいけばなはその役割が有ります。

人間がお花を鑑賞し、人間がお花を生ける限り、そこには好みや流行というものが大きな要素として存在しており、世の中の価値観や好み、住宅環境やライフスタイルの影響を大きく受けると言うことですね。

”床の間”と”いけばな”

一例を挙げるならば”いけばな”は、江戸時代中期に一般のお家にも床の間が普及したことによって、その発展に大きな影響を与えました。
すなわち床の間にお花を飾ると言う価値観が一般のものとなり、床の間に相応しいお花の様式が確立されたのです。
現在の”いけばな”は床の間と言う環境を抜きにしては語る事が出来ません。

しかし昨今の住宅環境を見た時に床の間ってほとんど見かけなくなりましたよね。
っていうか畳の部屋すら見かけなくなってきています。

そういう状況の中で「いけばなは床の間のものでなければならない!!」なんて言っていたら、皆さんの日常どころかこの世から消えてなくなってしまいかねないのです。
「むか~しむかし、日本にはお花をいける”いけばな”というものがありました。しかし平成になって床の間が消滅するのと併せて”いけばな”も消えてなくなりました。。。。。そして今では一部の神社やお寺や旅館などで床の間を目にする事が出来、そう言う限られた場所でしか”いけばな”を見ることは無くなってしまいました。。。」なんてなっちゃいけないのです!

”いけばな”が生き残るための唯一無二の方法

じゃあどうすればよいのかというと、”いけばな”が変わる事が一番重要なのです。
すなわち、ダーウインが進化論の中で言われている「適者生存」こそがその答えだと思います。

ダーウインは進化論の中で、弱者が消え、強者が生き残るのではない。その環境に適合できたものが生き残っている。すなわち環境に合わせて変化する事が出来たものが適者であり、適者だけが生き残る事が出来るのだと説かれています。

これって”いけばな”も商店も企業もすべて同じ事ですよね。

変わるってひと言で言いますが、変わるには長い時間と大きな労力が必要です。
だってそもそもどんな風に変わったらいいのかすらわからない状況の中で模索するしかないのですから。
正解も不正解も解らないのです。
乱暴に言うならば、とにかく変わろうとする事なんだと思います。

今日の正解は明日の不正解

仮に今している事が今日は正解だったとしましょう。
と言うことは、明日には時代遅れになってしまっているって事です。
だって時代はひと時も休まずに常に移り変わって言っているのですから。

とにかく変わろうとする。
すなわちそれは、色々な事に挑戦するって事です。
今までの歴史の中にアイデアの種やヒントがあるのです。
”いけばな”で言うならば、約700年の歴史の中で積み重ねてきた伝承と伝統の中にこそ、変わるためのアイデアやヒントが散りばめらているのです。

挑戦や実験を行うに相応しい場。それが”いけばな展”

私は”いけばな展”こそ、挑戦や実験を行うに相応しい場だと思っています。
日頃のお稽古で知識や技術を豊かにして、その土台を元にして色々な変化や応用をする。挑戦や実験を行う。
そう言う中で得た経験こそがノウハウとして蓄積されて、その後の変化に結びつく事が出来るのだと思います。

今回の「光風流いけばな展」でも、色々なデータとノウハウを得る事が出来ました。
それは私だけではなく、光風流として、作品を展示してくださった光風流会員のお一人お一人として、それぞれの立場で大きな学びを得る事が出来たのです。

そいう意味で私は「光風流いけばな展」は実験場だと考えているのです。

一歩先んじる経験は万の可能性を生み出し、万の可能性の中からだけ未来への扉が開かれる余地が生まれます。
1年先5年先がどうなるかなんて誰にも予測の出来ない時代、ただひたすら模索しもがく事が出来る唯一の事なんだろうなと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。