作者が心を込めて作り上げているいけばな展の作品を「後で写真で見せてね」と言うな！
こんにちは、内藤正風です。
現在開催中の「日本いけばな芸術展」の後期展も、いよいよ今日と明日の２日になりました。
もちろん毎日の手直しも欠かしません。
いけばな展の時にはいつも思うのですが、始まる前には１週間は長いなぁ～って感覚ですが終わってみればアッという間だったなぁって感覚になりますし、終わってしまえば全てが良い思い出となります。
という事で、今日と明日も頑張りたいと思います。
いけばな展の作品を「後で写真で見せてね」と言うな
いきなり強い言葉のタイトルでスミマセン。けれどやっぱり言い切りたかったのでこのタイトルにしました。
ちなみにこんな風に言う理由はいくつかあります。
まずその理由の１つ目は、いけばなの作品は立体造形物だという事です。
作品には上下左右だけではなく手前や向うがあります。したがって、そこにある枝や花や葉の働きは「３D」なのです。そんな「３D」の作品を写真という「２D」に落とし込んだとたんにその立体感によって生み出されている魅力は皆無となり、作品としての価値はほとんどなくなってしまいます。（記録としての価値はありますが。。）
なのに自分が一生懸命に作り上げた作品が、正しく表現されていないメディアで他の人の目に触れるというのは、あまり気持ちの良いものではないからです。
そして理由の２つ目は、特に大きな作品はそのもの自体が持つ迫力も魅力だという事です。
いけばな作品の魅力には、その作品の大きさも大きく関係しています。小さな作品から感じる可愛さ、大きな作品から感じる圧倒的な迫力、これらは写真からは絶対に伝わりません。だってスマホで見たら３０ｃｍの作品も３ｍの作品もおなじ画面の大きさでしかないのですから。
最後に３つ目の理由として、作者が心を込めて作り上げた作品なので心を込めて見てもらいたいと私は思うからです。
いけばな作品は作者の分身です。作者の心や人生をかけて生み出されたものです。そんな一生懸命に作り上げ展示をしている作品を、「また写真で見せてね」なんて軽々しい言葉で片づけて頂きたくないのです。
作者が一生懸命に心を込めて作り上げた作品なんですから、ご覧いただく方にも会場に足を運んで心を込めてご覧頂きたいと思うのです。
いけばな展の作品は会場でご覧いただいたときに、一番魅力が伝わるようになっています
とはいえ、全てのいけばな作品を生で見なければならないと言っているのではありません。
光風流でいうならば、流誌「光風たより」に掲載されている作品や「カレンダー」の作品などは、写真でご覧いただき楽しんで頂くために制作しています。
これは光風たよりやカレンダーの作品は、写真で皆様にご覧いただくことを前提に作られているものであり、写真で見たときにその作品の魅力が１００％伝わるように作り上げ撮影されているものになるからです。
いけばな展の作品は、会場で直接作品を目で見て楽しんで頂く事を前提に制作されています。すなわち言い方を変えると、会場でご覧いただかなければその作品の魅力を楽しんで頂く事は出来ないのです。
作者への敬意は会場で作品をご覧いただく事になります
私は流派は違えども、作品を生み出すときの生みの苦しみや、作品を作り上げる過程での苦心や苦労、そういうものは同じだと思うのです。
展示されている作品をご覧になられて、そこに好き嫌いがあるのは仕方ないと思います。だって人間は嗜好の生き物なのですから。自然的手法の好きな方、造形的な表現が好きな方、シックなものが好きな方や派手なものを好まれる方、これらは正解でも間違いでもありません。単なる好みです。
しかし作者の作品に取り組む姿勢や労力に対する敬意は、持っていただきたいなぁと思うのです。
会場に行って作品を見て、これは私の好みではないなぁ。。とかこれは好き。と思っていただくのは大いに結構だと思います。だって会場に足を運んで心を込めて見ていただいた結果なのですから。
しかしながら、写真で見せてね。。は、全ての作者の人が残念な気持ちになっておられることを知っていただきたいと思います。
日本いけばな芸術展の後期展も今日と明日の２日となりました。
是非お時間を作っていただき、お運びの上お楽しみいただければ嬉しいです。
内藤正風PROFILE
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平成５年（1993年）、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
