暑い時期にお花を生けた器に10円玉を入れておくと水が傷み難くなると言われていますが、これは完全なガセネタです

ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。

過日から暑くなりましたね。雲が多い日はそうでもないですが、晴れた日にはかなり気温も高くなります。こんなに暑いとお花を生けている器の水が傷みやすくなります。ちなみにお花の水が傷みやすいということはお花が早く弱ってしまうということでもあります。

お水を傷みにくくする豆知識と言うか都市伝説みたいなものが色々ありますが、そんな中でも多くの皆さんがよくご存じな「10円玉をお花を生けている器に入れておくとお水が傷みにくくなる」について検証してみたいと思います。

10円玉はお水を本当に傷みにくくするのか

「10円玉をお花を生けた器の中に入れておくと水が傷みにくくなる」ってよく耳にします。なかには水の中に入れていると汚い10円玉がピッカピカになるって仰られる方もおられます。
いずれにせよこの話の大元は、10円玉が銅で出来ているという事によるのだと思います

銅には殺菌作用があると言われており、確かに10円玉は銅と青銅で出来ています。そしてこの銅には銅イオンがあり、銅イオンの微量金属作用には、細菌類を死滅させる性質がありますし、実験でもその効果が明らかになっています。なのでその意味では水が腐りにくくなると言えるかもしれません。

しかし結論から言うならば、お花を生けている水盤や壺に10円玉を入れても水は腐ります。そしてもう一つ付け加えるならば、10円玉を入れていない状態と入れている状態で劇的に違いがあるかと言うと、残念ながらそれ程大きな差はありません。

銅には水を腐りにくくする作用が確かにありますが・・・

まずは「銅は水を腐りにくくする」と言う点ですが、このこと自体には疑う余地はありません。(科学的な説明や解説は自分でググって調べてください。)
しかしちょっと考えてください、お花を生けると水を入れて飾りますよね。まめに水替えされる方で2日に1回とかですよね。超まめな方で毎日。普通は3日に1回とか4日に1回とかって方も多いと思います。
こんな状態の中では、いくら銅に殺菌効果があると言っても、殺菌効果よりも雑菌が繁殖する力の方が数倍大きいので、銅による殺菌効果は発揮されないです。

具体例を1つ挙げますと、いけばなの器には竹を使った「寸胴(ずんどう)」というものがあります。
この花器には水漏れを防ぐために銅で作られた”オトシ”という水をためる物が入れられています。

 

この器、銅の分量で言えば10円玉の比ではありません。だってグルッと周りから底まで水の接する部分全て銅なんですから。そんな器に入れている水でさえ、夏の暑いときには1日たつと水が傷んでちょっとモロモロしたようなものが目に付いてきます。
そうなんです。銅があるからと言って水が傷まないなんて事は無いのです。

お水を綺麗な状態にしておく一番の方法はコレです

なので、水の中に10円玉を入れると水が傷みにくくなるというのは、ものすごくチョットだけの効果はあるかもしれませんが、ほとんど効果を期待できない状態だというのが実情です。

まぁだからといって、10円玉を器に入れていて悪い効果が出るわけではないですので、10円玉を水に入れて頂いても良いとは思いますが、とにかくはっきりと言う事が出来るのは、夏場にお花を長持ちさせるために一番良い方法は、10円玉を器に入れるよりも水替えをマメにすることです。

お花を長持ちさせたいと思われるならば、手間が掛かりますが水替えの頻度を多くしてあげてください。出来れば毎日してあげて頂ければ最高です。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。