「いけばな展」を開催して感じる、” 世の中はどんどん移り変わっている。いつまでも10年前と同じ判断をしていてはいけない。” ということ。

こんにちは。
移動のバスの中でBlogを書いている、いけばなの光風流家元 内藤正風です。

 

先週末の土曜日曜と「光風流西脇支部いけばな展」を開催しましたところ、沢山の皆様がお越しくださり好評のうちに幕を閉じる事が出来ました。
お越しくださった皆様ありがとうございました!!
って書いていますが、光風流の支部が開催した「いけばな展」なので、私はその場にいたわけではないのでリアルでわかっているわけではないのですが、昨夜いけばな展修了後に支部の役員をして下さっている先生から報告を受けて、お友達や仲間やご親戚が沢山お越しくださったと聞き、良かったなぁと思っています。

「いけばな展」は作品を展示する事が目的ではない

私は「いけばな展」は作品を展示する場ではないと考えています。

。。。。。
言葉がだいぶん足りないですね(笑)
正確には、「いけばな展」とは展示された皆さんの作品を核とした”サロン”でなければならないと思っています。

”サロン”とはウイキペディア先生によると

サロン(仏: salon、英: salon)とは、もともと応接室などの部屋を意味する言葉である。
1.応接間、談話室など。
2.フランス語で宮廷や貴族の邸宅を舞台にした社交界をサロンと呼んだ。主人が、文化人、学者、作家らを招いて、知的な会話を楽しんだ。(この項目で詳説)
3.(フランスで)展覧会のこと。元々ルーヴル宮殿の大サロンで開催されていた芸術アカデミー主催の美術展(サロン・ド・パリ、官展)を指した。ディドロの「サロン評」は美術評論の始まりといわれる。
4.文化史上に見られる文化人相互の交流の場を称して「~サロン」と呼ぶことがある。(例:木村蒹葭堂のサロン、後水尾院のサロンなど)
5.サービスを提供する店の名前に使用されることがある。(例:ネイルサロン、日焼けサロン、ビューティーサロン、ヘアサロン、エステティックサロンなど)
6.2ちゃんねるなどでは、各カテゴリの雑談系の板を「~サロン」と名づけている。

という意味で、私がここで言う”サロン”とは1~4の意味をさして言っています。

すなわち、いけばなの作品を展示してある会場(部屋)で、作品を展示している皆さんが主人としてお友達や仲間、親戚など招いて会話を楽しみ、交流を深める場だと思っています。

「いけばな展」には大きく分けると二つの側面がある。

私は「いけばな展」には大きく分けると二つの側面があると思っています。
それは「いけばな展」開催前と会期中で、まるっきりその役割は違っているのです。

いけばな展を開催する前(いけばな展の会期の前日まで)は、作品を展示する皆さんの知識や技術を育てる機会だと思っています。
「いけばな展」とは自分の作品を展示発表する機会です。いうなればお稽古をしている中での節目と言う事が出来ます。
日頃のお稽古で研鑽を積み重ねスキルアップやレベルアップをし、その力を発揮して発表する目標となる機会と言うことです。
何の目的も目標もなく、ただお稽古するためにお稽古を続けると言うのでは段々とだらけて来てしまいます。そうならないためにも「いけばな展」と言う機会は、自己のステップアップには不可欠な存在だと思っています。

 

「いけばな展」が始まったらその役割は、まるっきり変わって、先に書いたように”サロン”としての存在になります。
作品を展示している一人一人が主人となって友達や仲間や親戚などお招きして、そこで作品を見て頂くだけではなく色々なお話をしたり、時にはお食事やお茶を楽しむ場となります。
私はここにこそ、いけばな展開催中の一番大きなポイントが有ると思っています。

いけばな展の主役は、作品ではなく”あなた”です。

多くのいけばなをされている人が勘違いしているのですが、「いけばな展」にお越しくださる方は作品を見に来ているのではなく、”あなた”に会いに来てくださっているのです。

たしかにいけばなの作品は重要です。
しかし”あなた”が連絡をされたりお誘いされて「いけばな展」にお越しくださっている方は、”あなた”に会いにお越しくださっているのです。

世の中はどんどん移り変わっている。いつまでも20年前と同じ判断をしていてはいけない。

20年前くらいまでは、会期中にどれだけ沢山の方が会場にお越しくださったかと言うことが何よりも重要視されていました。
今も世の中で開催されている大半の「いけばな展」ではその事を重要視されています。
確かに少ない来場者数よりも多い来場者数の方が数字的には成功と言えるでしょう。
しかしそれは本当に成功なんでしょうか。諸手を上げて喜べるものなのでしょうか。

私はそうではないと思っています。
単に来場者数の多少で成功か否かを論じるのではなく、その来てくださった内容にこそもっと目を向けるべきだと思っています。

大切なのは「いけばな展」にお越しくださった、友達や仲間や親戚とどんな時間を過ごしたのか

作品を展示している方のお友達や仲間や親戚というような関係性のある人がどれだけお越しくださったか。そしてお越しくださった方とどんな時間を過ごされたか。
ここにこそ一番重要なポイントが有ると思います。

花嫁修業や花嫁道具のひとつとしての免状と言う価値観は今や遠い過去のものとなり、いけばなをお稽古する事でどんな素敵な人生を作り出す事が出来るのか、いけばながお家や職場にあることでどんな幸せ物語を紡ぎだす事が出来るのかということを皆さんに伝える事が出来なければ、誰もいけばなをしたいなとかお家にお花を飾ろうなんて思わないですよね。

「いけばな展」というのは自己の技術や知識をひけらかす場所になってはいけないのです。
「いけばな展」はお花のある生活の楽しさと豊かさを感じて頂く場所にならなければいけないと私は思うのです。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。