世の中のすべては同じに見えても同じではない。 それぞれに特徴があり役割が違う。

昨日、明石文化物館の「橋本海関・関雪展-父子の歩み-」に行ってきた、光風流家元 内藤正風です。

橋本関雪は私の好きな日本画家の中のひとりなので、楽しみに行ってきました。
昨日はこの展覧会の初日で、開会式のご案内を明石文化博物館から頂いていたので、開館にあわせて伺ってきました。

 

関雪の、中国の古典文学や風物をテ-マにした作品や、「新南画」と呼ばれる動物画などが展示されている中に「松無古今色」の書があり、しばし足を止めて作品に見入りました。

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。。。。。っていうか、この言葉を目にして、懐かしい記憶がよみがえり思わず時を忘れたって言った方が正しいですね(笑)

私は大学生の時に、一時期ある会社の社長の書生 兼 運転手 兼 鞄持ちみたいなことをしていた時期がありました。
その社長は私をえらく可愛がってくださり、一人住まいをしていた私に「食事やお風呂は自分の家に来い!」って言ってくださり、お言葉に甘えてチョコチョコ遊びに行っていました。
そうしているうちに、学校の終わった後や休みの時に、運転手 兼 鞄持ちをしておこずかいをもらうようになっていました。
まあ私自身は、おこずかいをもらえるし、ご飯食べさせてもらえるし、くらいの軽~い感じだったですが。
(^^;

晩ご飯をおよばれしながら、晩酌のお付き合いをさせていただくのも恒例だったのですが、この中で本当に色~んな話を聞かせてもらいました。
遊びについて、テレビや音楽、旅行とかのような軟らか~い話。
人の道や男について、仕事とはとかのような、硬~い話。
本当に話題豊富で、様々なことについて薫陶を受けました。
その話の中に禅語の「松無古今色 竹有上下節」の話もあり、その事がこの書の前で一瞬に甦ってきたのです。

「松無古今色 竹有上下節」

これは、松に古今の色無し。竹に上下の節あり。と読みます。

簡単に言えば、
松は古い葉と新しい葉の区別はあるが、一年中 翠(みどり)で変わらない。
竹には節があるが、この節は同じ一本の中にも上下の区別がある。
と言う事が書いてあります。

平等の中にも歴然とした区別はあり、区別はあってもその根底は平等である、という意味の言葉です。

その社長は「区別」と「差別」の違い、と言う事について良くお話を聞かせてくださいました。
特に「平等」と言う言葉の下で、「区別」がなくなることは絶対に良くないという事について、色々な例を挙げながら度々お話を聞かせてくださいました。
この禅語の話もその中の一つでした。

世の中のすべては同じに見えても同じであるわけではない。
それぞれに特徴があり、役割が違う。
その役割や命はみんな平等であり、そこに差別はない。

盲目的であったり節操のない平等というものは、自然の理に背くし調和しない。
いうなれば、人間には男女が有り、家庭には親子が有り、社会には長幼の序があってはじめて調和する。
一人一人は平等であるが、その意を曲解した平等一辺倒では世の中は成立しないし正しく成長しない。

まあこういう風な事を、晩酌して酔っ払いながら、大学生の私に真剣に話してくださった社長の顔や、あの時の日々や時間が、走馬灯のように目に浮かんできたのです。

その当時は私も大学生で、まだまだ未熟な脳ミソにはこの社長の言わんとされることが十分には理解はできていなかったです。(ってか全然わかっていなかったです。。。)
(社長ゴメンナサイ。ふぅ~んって聞いてるふりしてました。。。(苦笑))

しかし昨日の明石文化博物館では、全身に染み入る様に入ってきました。

皆さんは「平等」「区別」「差別」、どんな風に考えられていますか。
あなたの特徴は?あなたに与えられている役割は?

 

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。

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