時代は常に移り変わっています。だからこそ自らも変革してゆかなければならないと思います

こんばんは。内藤正風です。

今日は光風流の支部で開催している講習会の指導にあたってもらっている講師の先生方を対象にした研究会を開催したのですが、その中で「いけばなの置かれている環境や世の中の価値観は常に移り変わっている」って事についてお話しさせていただいたので、今日はそのことについて書きたいと思います。

今と30年前との ”いけばな” が置かれている環境の違い

今から30年くらい前には、女性は”いけばな”をお稽古するべきもの、そして”いけばな”の許状(お免状)は嫁入り道具の1つと言う価値観が一般的でした。
ここで言いたいのは、この価値観が正しいかどうかという事ではなく、大多数の皆さんが”いけばな”をその様に位置づけ考えられていたという状況があったという事です。
その頃にいけばなを習われた多くの方は、いけばなが好きとか、いけばなを学ぶ事で自分の家庭を幸せなものにしようとか、いけばなでの学びを仕事で役立てようなんてサラサラ思われていなかったと思うのです。
このころの希望は”許状が欲しい!”の1点であり、大半の方が”許状が無いと結婚するときにカッコ悪い”っていう、嫁入り道具のタンスや着物などと同じ捉えられ方をされていたように思います。

しかし現状はマルッきりこの頃とは変わっています。
”いけばな”は女性がするモノ、という価値観なんて今はありません。男性のお稽古される方も年々増えています。
”いけばな”は嫁入り前にお稽古するものと言う考え方も今やありません。その当時は結婚前の若い女性が大半を占めていましたが、現在では40代50代が若手です。60代から70代の方々が中心世代です。
”いけばなの許状”がとにかく必要であり欲しい、という人は皆無です。そうではなく”いけばな”をしっかりと学んだ証として許状をちゃんと捉えてくださっています。

こんなに世の中の価値観や”いけばな”を取り巻く環境が変わっているのに30年前と同じ事をしていたのでは、皆さんから理解や賛同を得ることは絶対に出来ないと私は思っています。

時代は移り変わってゆく。だからこそ自らも変革してゆかなければならない

光風流はもうすぐ創流60周年を迎えます。(正式には今年58年です)。
昔から言われる”10年ひと昔”という言い方を借りるならば、「6昔」です。余計に分かりにくいですか?(笑)
ただハッキリと言えるのは、創流された60年前とは何から何までマルッきり変わってしまっているって事なのです。
なので私は色々な部分を見て、必要と思う箇所について改革をしているのです。
流派の運営の仕方、流派の組織、カリキュラム、日頃のお稽古の行い方、講習会や研究会の組織や運営、もうそれこそ流派の全てが対象です。ここに手を付けてはいけないという聖域はありません。例外なく気付いたところから、そして今行う事が出来るところから改革を行っています。

改革にあたって私が意識する2つの事

この改革にあたって私は2つの事を柱にして考え行動しています。
まず1つ目は、時代にそぐわないと少しでも感じたところは改革をしなければならない候補となす。
そして2つ目は、どんな風に改革するかに正解は無く、とにかく今行なえる事から手を付け、うまくいかなければまた改革すればよい。
ということです。

「あーここ具合悪いなー」ってところは、簡単に言えば今の価値観では受け入れられにくくなっているのです。あるいは現在の状況とは合いにくくなっているのです。
こんなところを感じたら、さっさと動かないと益々ズレが大きくなっちゃうだけなんです。改革しなければならない候補発見~~って事です。

ただここからが大切なのです。「あーここ具合悪いなー」って感じたらとにかく改革の行動を起こさなければならないのですが、どこから手を付けるべきなのか、今出来る事は何なのか、をしっかりと考えなければなりません。
どんなに良い事であっても、今の自分の力では出来ないことをやろうやろうとしても単なる無駄な動きにしかなりません。いや時と場合によっては、余計に悪い結果が出てしまう場合も起こってしまいます。
今どんなことが出来るのかを考え、全ての候補を挙げる。そしてその候補の中から今の現状の中で最善と思われる方法を選ぶ。ということをしっかりとしなければならないと私は思っています。

塵も積もれば山となる

大半の人間は、大きなことなんてできません。私もそうです。
例えるならば、人間が毎日している事はコピー用紙1枚の厚みほどしかない事かもしれません。なので10日経ってもコピー用紙10枚の厚みしかないです。ほとんど分かんないです。
しかしそれを50日つづけたら?100日つづけたら?1年では?3年では?。。。。。

1日単位では全く分からないような変革であっても、それを毎日続けていると大きな変革に結びついてゆくのです。まさに「塵も積もれば山となる」なんです。

毎日意識をしアンテナを立て続ける事こそが第一歩だとおもいます。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。