正月元日はお風呂に入らないという風習から学ぶ ”家族への愛”

こんにちは。内藤正風です。新年も明けて2日になりましたね。

さて正月元日はお風呂に入らないという風習をご存知でしょうか。
ええ我が家では父の代もそうでしたし私もその様にしています。これって結構地域性とかもあると思うのですが、この風習って実は凄く ”深い~~” 理由があるのをご存知ですか。

正月元日にお風呂に入らない ”表” の理由

私達日本人にとってお正月は1年の中で一番大きなイベントです。
年末にはクリスマス、10月にはハロウインとイベントは沢山ありますが、クリスマスやハロウインというのはみんなで楽しむイベントって感じだと思うのです。
しかしお正月は、離れて住んでいる子供さんが親元に帰省したり、親戚の家に遊びに行ったりするように、家族や親戚のイベントと言う意味合いが強いですよね。
これは実はお正月が年神様をお迎えするという機会なので、家族や親戚が集まるという動きに結びついているのです。

新しい年の年神様は前の年の12月31日にそのお家に来られるといわれています。そして1月1日から新しい年神様と過ごすようになるのですが、正月にお風呂に入るとこの新しい年神様が持ってきてくださった「福」まで洗い流してしまうので、元日にはお風呂に入らないという風習に結びついているのです。

なぜお風呂に入ると「福」が流れてしまうのか?それは日本人が持つ「水に流す」という考え方が大元にあるからなのです。

日本に古来からある「水に流す」という考え方

日本には「水に流す」という独特な考え方が有ります。会話の中でも使いますよね「水に流して。。」って。

これは古事記の中でイザナギが黄泉の国に行った穢れを洗い流した時に数々の神が生まれたと書かれている様に、日本では本当に古くからの考え方です。
すなわち自分にとって都合の悪いものは水に流してしまうというという、ある種の生活の知恵といっていいと思います。
今の生活の中でも、流し雛や、精霊流し、七夕流しに代表されるような穢れや罪を流すと言うことや、菖蒲湯や柚子湯やお祭りの前の入水の様に禊(みそぎ)としての物などがありますよね。

なので水に入ると悪い事だけではなく良い事も流されてしまうと考えて、年神様が来られてスグの元日はお風呂に入らないとされているのです。

正月元日にお風呂に入らない ”裏” の理由

お正月には「おせち料理」を頂きます。これは節目(お節)に食べる料理という意意味合いや、おめでたいものを頂くという意味合いがありますが、それとともにもう一つ大きな意味があるのです。それは。。。

主婦がお正月に働かなくてもいいようにしようという「心遣い」であり「愛」なのです。

日頃家事をしてくれている女性をお正月くらいは出来るだけゆっくりとさせてあげようという労わりの心があるからこそ、元日はお風呂に入らない様にしようと言うことに結びついたのだと思います。
だって昔のお風呂は、水は井戸から釣瓶で汲み上げて薪を燃やして沸かさないといけなかったのですから物凄い重労働だったんです。

お正月はお家の女性を大切にする日

正月三が日に家事を出来る限り減らすという中には、食事の準備だけではなくお掃除やお風呂を沸かすというような家事も含まれています。
”毎日3度お世話になっている台所の神様にお正月くらいはゆっくりして頂くために” という説もありますが、コレも先に書いた事に共通するのではないかと思います。

本質を理解すると真理が見える

今はお家でカマドを使ってお料理しているお家は無いでしょうし、薪を焚いてお風呂を沸かしている人もいないでしょう。しかし理由が無くなったからもうどうでもいいと言うことではなく、こういう風習には必ず隠された本質があると私はあると思っています。言い伝えの本質を理解できれば、おのずと行動に結びついてくるのではないでしょうか。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。