いけばなの「型」は単なる道具でしかありません。道具は使う人次第で、生きたり死んだりするのです。

こんばんは。明日と明後日開催する講習会の準備をゴソゴソしている、いけばなの光風流家元 内藤正風です。

「いけばな」は決まった形にお花を生けるものではない

「いけばな」って聞くと、決まった形にお花を生けるのが「いけばな」だと思われている方が多いです。
確かに間違いではないですが、それはいけばなの持つごく小さな一面しか見ていないと言えます。
っていうか、「いけばな」が単に形を作るものと思っていたら大きな間違いなのです。
「いけばな」は作品を生ける人自身を表現するものです。心情、主義主張、価値観など作者の内面を表現するのがすなわち「いけばな」であると言えるでしょう。

いけばなで学ぶ「型」は、単なる道具

ではなぜ日頃のお稽古の中で「型」を学ぶのかと言うことですが、それは、自分の思いを表現するための”技術”、すなわち”手法”として「型」を学んでいるに過ぎないのです。
”手法”とはすなわち”道具”です。
たしかに道具はたくさん持っている方がイイですよね。しかし道具ばかりやたらと沢山持っていても役には立たないのも事実です。だって、使い方や役立て方を知らない道具ばかり持っていても使いこなせないのですから何の役にも立っていないって事です。

道具は正しく使って初めて役立つ

道具は正しい使い方をしなければ役には立ちません。っていうか、間違った使い方をすると大怪我をしちゃいます。
例えば”金槌”があります。金槌は釘を打つ時に使えばとても便利です。しかし真っ直ぐ釘を打つ使い方をちゃんと出来なければ、釘が斜めになってしまったり途中で曲がってしまったりしてしまいます。
そもそもの使い方を間違えて、釘ではなく指を叩いたりした日には確実に怪我をします。金槌で人を殴ったりなんかしたら大怪我どころか死んじゃうかもしれません。

「いけばな」で学ぶ「型」とは、すなわち”道具”であり、その道具の役立て方を学んでいるのです。道具は使いこなしてこそ初めて役立つのです。

明日と明後日開催する講習会は、道具としての「型」の活かし方を学ぶ機会

日頃のお稽古や講習会で「いけばな」の型を学ぶだけではなく、その学んだものをどのようにして役立てたら良いのかという方法を学ぶことが何より大切です。
明日と明後日に開催する「お題講習会」は、宮中で新年に催される歌会始(うたかいはじめ)の「題」として定められた言うならばテーマをお花で生けて表す講習会です。

テーマをどのようにして理解したり掘り下げればいいのか。テーマからのイメージの作り上げ方。実際にどんな材料を取り合わせるのか。こんなことを自由に出来るようになるために有るのが「型」や「型の活かし方」なのです。

明日と明後日の講習会では、”学んだ型の活かし方”を皆さんに存分にお伝えしたいと思います。真面目な顔してお花なんて活けていても楽しくないですよ。
”学んだ型を活かす”とはすなわち、どんな風に遊ぶかって事でもあるのです。

お花を使った遊びの天才や遊び上手な人こそが、いけばなを楽しむ事が出来る人だと私は思っています。さあ明日と明後日は遊び人をいっぱい作っちゃいますよーー!

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。