今年最後の秋の作品の写真撮影を行いながら思った、前例踏襲は衰微の第一歩になるなぁということ。

こんばんは。内藤正風です。
いやー今日は、私にとっての秋の終わりの日になったように思います。
って言っても何の事か判んないですよねー。。スミマセン。

今日の夕刻に私どもの流派”光風流”の機関誌に掲載するいけばな作品の撮影の立合いに行ってきたのですが、この作品は秋を代表する「カエデ」を使った作品でした。

 

11月も末になると、お稽古で使う材料は冬を感じる物が大半になっています。そしてこれから各地の教室で行うお稽古の内容は、季節感でいうと冬、歳時で言うならばクリスマスやお正月になってきますので、私の仕事に関する季節感が、明日からは冬真っ盛りに突入していくんだなーーって思ったので、「あー、私にとって秋は今日で終わりかな――」って思ったって事なのです。

毎年訪れる”四季”は、その年によって少しずつ違うと言うこと

日本には四季があり、常に休むことなく移り変わっています。そして毎年、春夏秋冬が巡ってくるのですが、その年その年で同じ季節は二度とありません。昨年の春と今年の春は同じようですが実は色んな所が違います。冬も去年の冬と同じ冬はやってきません。色々なところが違ってきます。
冬だから寒い。ええ確かにそうでしょう。しかしその寒くなって行き方や、寒さの様子などは毎年必ず違います。

そんな風に季節を見ていると、人も毎年同じではいけないんだなぁと改めて思います。
例えば”いけばな”で言うならば、これからクリスマスがやってきてクリスマスのお花を生けます。このクリスマス自体は毎年やってきますが、全く何から何まで同じクリスマスは二度とありません。
だって世の中の価値観はどんどん移り変わっています。クリスマスを迎える私たち自身も毎年一つづつ年を重ねて行っています。子供さんやお孫さんも毎年成長されています。ほら、何一つ同じ状況は無いのです。

変わることをしなくなった瞬間から衰微が始まる

人間は変わることをついつい拒みます。これは人間が安定を求め安心を欲する動物だからです。
安定や安心を求める動物だからこそ、これまで人類の歴史を重ねてくることが出来たというのも一理あると思います。
しかし変わることをしなくなった時点から、衰微が始まるのも事実だと思います。
ダーウインが”適者生存”と言う事を言っている様に、強いものが残るのではないのです。環境や時代の変化に合わせて自分を変化させることが出来たモノだけに未来に生き残る事が出来る可能性が開かれるのです。

成功体験が変化しようとする力を鈍らせる

昨年用意した商品が好評だった。昨年開催したイベントが好評だった。
こんなふうに成功体験が有ると、なおさらに前例踏襲をしたくなります。しかしそれは極めて危険な一歩だと私は思っています。その理由は大きく2つあります。

まず、前例踏襲と言うことは前例の真似をすると言うことですよね。って事はすなわち100%同じように出来ても前例と同じにしかならないって事です。そうです、前を超える事は絶対にないって事です。
そもそも全てが前例と同じように出来るだなんてありえないですよね。

そしてもう一つは、時代の感覚や世の中の価値観は常に移り変わって言っているって事です。
仮に昨年と100%同じ事が出来たとしましょう。しかし世の中の価値観は常に移り変わっているということは、昨年大好評であったものも今回はちょっとズレてきちゃっているところが出て来ているってことに他なりません。

私はいけばなの世界一筋できていますので、ビジネスの事は全く分かりません。しかしお稽古を皆さんにして頂いていたり、いけばな展やセミナーなどを開催させて頂いている中で強く感じるのは、成功体験こそが変化のブレーキになってしまう事が往々にして起こると言うことです。
昨年のクリスマスのお花の取り合わせや生け方が好評だったから今年も同じようにしようー。昨年開催したイベントが好評だったので同じように開催しちゃおうー。ってしたくなりますが、こういう事を続けていて衰微しちゃった例を私は何度も見てきています。
ちなみにこれって実は、いけばなだけではなく、お店でお商売をされている方や会社を経営されている方にも同じことが言えるのではないかなと私は思っています。

常に自分を半歩でも前に進めることを意識し、成功体験に囚われること無く常に挑戦し続ける姿勢を持ち続けたいなぁと改めて思った11月21日でした。
さぁー今年のクリスマスとお正月に向けてのお花は、何してやろうかなぁーーー(笑)

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。